表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/22

第4章 第13話 分析

 「魂の融合(フュージョンソウル)」。それは手を繋いだ相手と融合する原初の魔法(オリジンスペル)である。今回の和風衣の場合はダンジョンブックを通し、人型モンスターであるセイバと融合した。



 以前まで使っていた魂の転職(ユニゾンソウル)では、ただモンスターの力を借りるだけに留まっていたが、強化版である融合(フュージョン)は、ユリー自身と相手の力を掛け合わせ、何倍にも増幅することができる。


 それを証明するかのように、以前まではセイバと同じ和服を着ていただけだったが、全てが青に染まり、髪の量も増え、セイバ同様ポニーテールになっている。



 だが魂の融合(フュージョンソウル)は魔力消費が激しく、そう何度も使えないし、長時間の使用も不可。モンスターの侵入を拒む結界が解かれ、もう一体のトーテンが加勢に来る可能性を考えるとあまり使いたくない技だ。



 だからショウコから注意を逸らし、ケードを退かせるための材料にするつもりだったが、逆に敵の心に火を点けてしまったようだ。



「私はトーテンの5番、ケード。モンスターとしての分類はピエロです。その能力は……」

((能力開示の制限呪(リミットオーバー)!))


 ケードの発言から、自身の能力を相手に知らせることで能力を底上げする制限呪(リミットオーバー)をかけていると瞬時に察知したユリーとイユは、効果を下げるために今わかっているケードの能力を語る。



「ピエロの壁張りの発展系、結界の生成。手を閉じることで発動、開いて解除」

「加えて結界内に特殊な効果を付けることもできますよねー。瞬間移動に、魔力阻害。あとは内部爆発なんかもできるんじゃないでしょうかー」

「射程は視界の範囲内。大きさ的には50cm~10メートルほどって感じかな」


 制限呪(リミットオーバー)は自分にデメリットを与えることでその分のメリットを得る呪い。こうして能力を晒してしまえば、底上げもされなくなる。ユリーたちの仮説を聞いたケードケードは中指でサングラスを上げ、一度ため息をついた。



「まさかここまで把握されているとは……ですが訂正です。別に視界に入っていなくても感覚である程度は可能ですし、大きさにも基本的に制限はない。それ以外は当たっていますが、大事なことがもう一つ」


 ケードの頭上。さっきまで何もなかったはずの空間に、2本の浮かぶ手が出現していた。



「私は制限呪(リミットオーバー)によって手を最大8本にまで増やすことができます。あなたたちによって効果が減少させられましたが、それでも4本。つまり、計4つの結界を、1秒とかからず張ることができる」



 1秒とかからない。とてつもない速度だが、所詮それは通常の世界にとっての話。



 マスケット銃のみを武器にするという制限呪(リミットオーバー)で視覚が強化されているイユ・シエスタにとっては、さして驚異的でもない。こちらが弾を撃つ方が速い。



 そしてこの魔法は、光速すらも超える。



天使の翼(エクレア)



 弾を撃った直後の一言。ケードがそれを魔法の詠唱だと把握するよりも速く、



「なっ……!?」


 ケードの身体は、銃口の少し先へと移動していた。



 イユの原初の魔法(オリジンスペル)、「天使の翼(エクレア)」。空撃ちをすることにより、撃ち出した魔法石と、自身、及び視界に映るものの位置を入れ替える魔法。これにより、撃ったばかりの魔石弾とケードの位置を交換。隙を作り出すことに成功した。そして突如視界が狭まり、慌てる無防備な首に、青い刀身が食い込んだ。



横凪(よこなぎ)!」


 剣術特化モンスター、セイバの剣技を何倍にも高めた威力の斬撃がケードの首を落とそうと放たれる。だが、



「かった……!」


 首には当たった。当たったが、斬り落とせていない。肉に食い込んだ段階でピクリとも動かなくなった。



(やっぱり火力不足は変わらないか……)


 ユリー、イユ共通の弱点。サポートタイプであるが故に、単体では火力が出ない。いくら身体能力を上げていると言っても、元が魔王軍幹部と同格のミューに完敗するレベル。魔王軍大幹部には通用しない。



「がっ!」


 必死に力を入れているユリーと、少し後ろで銃を構えるイユの身体が何かの衝突によって吹き飛ばされる。見ると、さっきまでユリーたちがいた場所に、浮遊する2つの手があった。この手がユリーたちを殴り飛ばしたんだ。


 ケード自身のパンチに比べ威力はかなり落ちていたが、自由に操作できる遠距離攻撃と考えると厄介さはかなりのもの。しかも手を閉じようとしていて……。



天使の翼(エクレア)

「!」


 だが結界が生じたのは、ユリーたちからはかなり離れている。イユがケードの身体と、最初に撃った魔石弾の位置を入れ替えたのが原因だろう。



「やっぱり操作してるのはケード本体ですねー。視界が変われば当然座標もズレる」

「だね。しばらく本体は任せていい? 手は私の方で無力化する」

「オーケーでーす」



 ユリーは魔力節約のために魂の融合(フュージョンソウル)を解除し、右手を左の太ももに添える。



「抜刀――」



 そして太もものベルトから十手を引き抜き、その大きさを剣と同サイズにまで引き上げた。



「――千方百計(せんぽうひゃっけい)十束剣(とつかのつるぎ)



 それは魔力を流すことによって、十種類の形に姿を変え、十種類の魔法を放つことができる武器。



 かつて魔王が使用した能力を解禁した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ