ウソの中のホンモノ③ 舞風優視点
「・・・・・なんとなくね・・・信じられないけど、俺に対して好意があるように感じられた。自惚れだったら恥ずかしいけど。」
「・・・・・なんだ・・・わかってるんだ・・・」
「・・・・・」
彼は一口、ビールに口をつける。
「千愛希とは付き合う気はないの?」
「・・・・・ないかな・・・」
「・・・・・」
「仮に付き合ったとしたら俺は・・・きっと同じことをしてしまう。想いを素直に伝えることができなければ、行動で示すこともできない・・・2年前に神谷さんに怒られて、変わろうとしたけど・・・・・ダメだった。」
「・・・・・」
「やっぱり俺、人と正面から向き合うのはできなかったみたいです。」
(ああ、そうか・・・やっとわかった・・・なんで私が彼のころを気になるか・・・)
私はグラスに残っていたビールを一気に飲み干す。
何も意識していないのに口元がにやける。
「あほらしくて笑っちゃいますよね・・・」
「これは違うよ・・・なんで、私が寺沢さんを気にしていたか・・・今やっとわかってさ・・・」
「俺のこと・・・気にしていたんですか?」
「キスされてて意識しないはないでしょ・・・」
「確かに・・・」
「私さ・・・寺沢さんに・・・人としっかり向き合えるようになって欲しかったんだ・・・私みたいに・・・」
「ん・・?なんでですか?」
「私と寺沢さんは似ているんだよ。」
「俺と・・・神谷さんが似ている・・・?」
彼は疑問を抱いているようだった。
私は彼に見せていない部分が多すぎる。
「そうだよ。私は昔、人と向き合うことができなかった。けど、八瑠佳と出会って向き合えるようになった。」
「・・・・・そうだったんですか・・・?」
「私さ・・・自分でいうのもなんだけど、優秀だったんだよ。勉強も運動も・・・でも、頑張れば頑張るほど、周りに人がいなくなっていった。周りに人がいるのは、私よりも勉強も運動もできない子ばっかりだった。私の方が努力しているのに・・・あの子は何もしなくても周りに誰かがいる。私はそれが許せなかった。」
「・・・・・」
「私もその子みたいに人に囲まれたかった。でも、プライドが邪魔をして、生き方を変えられなかった。その子のことを知ろうともしなかった。きっとその子はその子で努力していたのかもしれないとか、人を引き付ける何かがあるかあるとか考えもしなかった。」
いつのまにか右手に握り拳を作っていた。
「そのまま勉強ばっかりして、ずっと一人だった。友達なんかできなかった。そのまま大学に進学した。もう自分はこういう生き方しかできないんだって思っていた。友達が欲しいという本音を押し殺して。自分の気持ちにウソをついて・・・でも・・・」
「でも・・・?」
「出会ってしまった。八瑠佳に・・・」




