ウソの中のホンモノ② 舞風優視点
「生中2つで。あと・・・」
私は注文する。
「ここにはよく来るんですか?」
「うん。一人の時もあるし、千愛希と一緒の時もあるよ。というか、そんな丁寧に話さなくていいよ。お互い知らない仲でもなんだし。」
「うん。わかった・・・そうだね・・・」
私たちは居酒屋に入っていた。
彼を誘った時、断られることも考えたが彼はあっさり承諾した。
「懐かしいな・・・神谷さんとこうして居酒屋に來るのは・・・」
「そうだね・・・約2年ぶり・・・かな?」
本当に懐かしい。今思えば、あそこが分岐点だったのかもしれない。
「こうして、しっかり話すのって・・・えーと、4回目か・・・会うのは5度目かな・・・」
「・・・・・そうだね。」
注文していたビールと料理が届く。
「じゃ・・・お疲れ様!」
「お、お疲れ様・・・」
私たちは乾杯する。彼があまりに明るくふるまうので驚いてしまった。
それ以降は、お互いに会ってない間のことや世間話をした。
彼は八瑠佳のことは一切話さなかった。
私はただ楽しかった。
好きな人と気兼ねなく話すのがこんなに楽しいのも初めて知った。
でも、そんな話をいつまでもしているわけにもいかない。
「・・・1つ聞きたいことがあるんだけど。」
「何?」
「私のこと・・・怒ってる?」
「怒ってないよ。というか何に対して?」
「いや・・・それは・・・私が、新幹線のホームで・・・・・き、キスしたことに対して・・・」
「怒ってないよ。ただ・・・」
彼は言葉を詰まらせる。
「ただ、なんであんなことをしたのかは疑問だけど・・・」
「なんで・・・!2人はこれが原因で別れたんでしょう・・・?」
「・・・・・」
「私に対して怒りを抱いてもおかしくないと思うけど・・・」
「・・・俺は本当に怒っていないよ。」
彼はまっすぐに私を見る。
「確かに、きっかけのひとつではあると思う。でも・・・でも・・・きっとあれがなくても俺たちは別れていた。悲しいけど・・・」
「そんなこと・・・ないでしょう。だって2人は上手くいってたでしょう?」
「見た感じはね・・・実際はお互い遠慮をしていた。それに原因は・・・」
「・・・・・」
「俺がしっかり自分で決断できなかったのがいけなかったんだよ・・・」
「え・・・」
「俺にはまだ、恋愛する資格がなかったのかもしれない。自分の想いにすらウソをつく俺になんか・・・」
「じゃあ・・・千愛希はどうするの?わかっているよね?」
「・・・・・」
「千愛希の気持ち・・・気づいているよね・・・?」




