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ホンモノノスキ  作者: リンゴ
ウソの中のホンモノ
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失った時間     蓮視点

「お待たせ・・・」


俺は駅前の待ち合わせ場所に来ていた。もう、待ち合わせしていた人はすでに着いていた。


「待ってないよ。じゃあ、行こうか。」


「そうだね。早かったね?」


まだ、集合時間の15分前だ。


「昔は寺沢君をずいぶん待たせちゃったしね・・・それよりも、やっぱり金沢と言えば、兼六園だよね。」


森田さんは楽しそうに前を歩く。


そんな後姿を見ながら俺は1週間ほど前のことを思い出す。


メッセージで森田さんに兼六園に行かないかと誘われた。


森田さんと飲みに行ってから1ケ月が過ぎた。

森田さんは頻繁にメッセージを送ってくるようになり、どこかに行こうとか食事に行こうと誘われることが多くなった。

俺は何かと理由をつけて断っていた。しかし、誘いがなくなることはなかった。

そして、時間があれば行くと行った以上、断りづらい。


というわけで、今日は森田さんと出かけることになった。


俺は一体何をしているんだろう?こんなことをしても八瑠佳のことを忘れることなんてできないのに・・・



・・・・・・



兼六園への観光は終わった。

感想としては、そんなもんかという感じだった。


(俺の感情・・・どうなってるんだか・・・)


最近、嬉しい、楽しいなどの良い感情があまり感じなくなった。


俺たちは兼六園に近い公園にいた。


「どうだった?兼六園?私も久々に来たけれど、やっぱり綺麗だよね。」


「そうだね・・・良かったよ。」


「寺沢君・・・楽しくなかった?」


「そんなことないよ。ごめん暗い顔してた?」


「うん、そういう感じがした。実は今日来たくなかった?」


「そんなことはないよ。兼六園は行きたかったし。でも・・・俺・・・は・・・」


俺は最低なことを言おうとしている。

言葉が出にくい。


「俺は今日森田さんといながら別の女性のことを考えていた・・・」


俺は森田さんに拒絶して欲しかったのかもしれない。

しかし帰ってきた答えは予想外の答えだった。


「知ってた・・・というかわかりやすいよ。」


「そっか・・・本当に申し訳ないと思う。最低の人間だとも思っている。」


「まあ褒められたことではないよね・・・でも私は知っていて、誘ったから。」


「なんで・・・」


「そんなすぐに大切な人のことって忘れられないよね・・・私もそうだよ。」


「・・・・・」


「それに、寺沢君には大切な人をそんな簡単に忘れる人になってほしくない。人生って人と人のつながりが大切だから・・・」


「・・・・・ありがとう。」


「大切な人を忘れられないって当然だよ。だから、自分を最低なんて言わないで・・・」


「・・・・・」


「今は元カノさんのことが一番でいいと思う。でも、いつか・・・いつか次の恋愛に進めればいいね。」


「・・・・・まずは、ありがとう。そう言ってもらって俺はだいぶ救われたよ。嬉しかった。」


「良かった。」


「・・・・・」


「・・・・・」


何か話さないとはいけないとは思う。しかし、俺は何も話そうとしなかった。

きっと森田さんもこんな俺に愛想をつかすだろう。


「今日はもう解散しよっか・・・」


「そうだね・・・」


「じゃあ・・・バイバイ。」


「バイバイ。」


森田さんは去っていった。俺は公園に残される。


これでいいんだ。





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