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ホンモノノスキ  作者: リンゴ
ウソの中のホンモノ
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予感②     千愛希視点

「って感じかな・・・ふうー」


寺沢君は話し終えた。


「長かったよね・・・森田さん・・・?」


「・・・あ、ごめん。ありがとう話してくれて。」


「こちらこそ聞いてくれてありがとう。話したらすっきりしたよ。」


「そうであれば良かった。」


「ちょっとトイレ行ってくるね。」


「うん。」


寺沢君は席を立つ。私は一人になる。


さっき寺沢君の話に似た話を最近聞いた。そう、舞風優から聞いた話に似ていた。


いや同じ話にしか思えなかった。


まさか・・・ね


今日のことを思い出すと、今日の舞風優に変なところがあった。


特に最初に出会った時、すごく動揺していた。


それに本当に最小限しか話をしなかった。普段はよく話すのに。


私に遠慮してる・・・?


それじゃあ、前と同じじゃない。


私はどうだろうか?


舞風優の気持ちを聞いていながら、彼女の想い人である寺沢君に想いを伝えることができるのか・・・


万が一、上手く行ってしまったら彼女はまた傷ついてしまうだろう。


それは嫌だ。


自分の想いを殺して、舞風優の恋を応援するってことはもっとできない。


今やっと、舞風優の気持ちが本当の意味でわかったような気がする。


「お待たせ。」


「・・・うん。」


「他に何か聞きたいことある?」


これ以上はっきりさせていいのか迷う。でも今聞いておかなければ後悔する気がする。



「・・・・・さっきの話に出てきた彼女の友達って、舞風優のこと?」



「・・・正解。いつから気づいていたの?」


「ついさっきだよ。寺沢君に聞いた話があまりにも舞風優から聞いた話に似ていたから。それに、今日の舞風優の様子おかしかったし・・・」


「・・・・・女性って鋭いなぁ・・・ほんと。」


「「・・・・・」」


「ねぇ、舞風優を恋愛対象として見たことある?」


「・・・ない。」


彼は短く答えた。


「それは彼女がいたからじゃないの?今は?」


「やっぱり、ないよ・・・彼女は・・・なんというか・・・恩人なのかな?俺の考えを変えてくれた。前向きに考えられるようになった。」


「・・・・・」


「まだ、次の恋愛のことを考える余裕はないよ。俺引きずるタイプだし・・・」


彼はそういい、私を見る。


「もしかして、私のことも引きずった?」


「だいぶね・・・」


「ごめんね。あの時は私まだまだ子供だった。けど、今は違う・・・だから・・・も」


「そろそろ、いい時間だね。俺も眠くなってきたし、解散にしようか。」


「・・・・・うん。」


彼は私が何を言うのかわかっていたように、話を遮った。


いや、これで良かった。


この勢いのまま話さなくて良かった。



・・・・・



私たちは店を出る。


「家はどっち?」


「駅と反対側だよ。」


「送っていこうか?」


「大丈夫だよ。いつも帰っているし。」


「そっか。じゃあ俺駅の方だから、ここで。」


(相変わらずだなぁ・・・)


付き合っていた時も駅で2駅離れているのに、いつも送ってくれた。


時は経っても、あの時の優しい寺沢君で安心した。


「寺沢君さえよければ、また一緒にご飯行ったり、遊んだりしない?」


「・・・・・時間があったらね。」


「それでいいよ。じゃあまた。」


「バイバイ。」


寺沢君はその場に立ち止まり、私を見送っている。


これも昔と変わらない。


私はやっぱり彼のことが好きなんだなぁと実感した。

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