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ホンモノノスキ  作者: リンゴ
ウソの中のホンモノ
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予感①     千愛希視点

私は勇気を出して、寺沢君を誘った。


「・・・・・うん。いいよ。」


(やった。)


心の中でガッツポーズをとった。


「近くのバーでいい?」


「いいよ。あんまりお酒強くないからたくさん飲めないよ。」


「うん。知ってる。じゃあ行こう。」


私は寺沢君の横に並んで歩き出す。


「神谷さんとは仲がいいんだね?」


「そうだね。休みは一緒に過ごすことが多いね。友達こっちには舞風優以外いないし・・・」


「そっか・・・とても仲良さそうだったから・・・羨ましいなって。」


「そう見えているのなら嬉しいな。寺沢君は仲の良い友達・・・とかいないの?」


私は含みを持って聞く。


「・・・残念ながら、そういう友達はいないね・・・少し前までは・・・」


「あ・・・ごめん。ここだ。」


「おおう・・・」


目的のバーを通りすぎようとしていた。


「話遮っちゃってごめんね・・・続きは中に入ってからにしようか。」


「そうだね・・・」


遮ってしまったが、寺沢君が何を言おうかわかってしまった。


きっと大切な人がいたんだろう。


いて欲しくないと思っていたが、そうもいかない。私も聞く覚悟を決めなければいけない。


私たちはバーに入った。







「お待たせしました。」


頼んでいた飲み物が届いた。


「さっきの続き、聞きたいな・・・」


「・・・続きって?」


わかってるくせに。とぼけるんだ・・・


さっきのは口を滑らせてしまったのかな。


「少し前までは・・・の続き。」


「・・・・・・」


寺沢君は黙り込む。


「話しにくかったら・・・」


「いや、いいんだ。」


私の言葉を遮って寺沢君は話し出す。


「少し前、2か月前までは、俺には大切な人がいたんだ・・・将来を考えた人が・・・」


話すのも辛そうだ。


「でも俺のせいで別れてしまったんだ。」


「そうなんだ。」


やっぱり、大切な人がいたんだ。


「俺が後ろめたいことを隠していたのが悪いんだ。黙っていることが正しくないとわかっているのに、黙っているのが誠実だと思い込んでいたんだ。」


「・・・・・」


「いや、彼女にバレるのが怖かったんだ。それが原因で振られちゃうんじゃないかって。」


「そうだね・・・誠実か・・・」


誠実については、舞風優にも話した。その時から考えは変わらない。だから・・・



「私は誠実ってさ一つの決まった形はないと思う。その人に適した誠実があると思う。」



同じことを言った。


「だね。そして誠実は1つではないし、時と場合によって変わってくる。」


「誠実って難しいね・・・」


「ほんとにね・・・」


寺沢君は一気にカクテルを飲み干し、注文する。私も頼んだ。


「嫌だったらいいんだけど、寺沢君の大切だった人のこと詳しく聞いていい?」


「・・・いいよ。長くなっちゃうけどいい?」


「もちろん。」


注文したカクテルがいいタイミングで届いた。


「俺が彼女に出会ったのは・・・仕事の下見で山に行った下山の終盤だった。」


寺沢君はゆっくり話し出す。




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