たとえ出会いが偶然だとしても② 千愛希視点
私は一か月待った待ち人を目の前にして、声をかけるどころか、店から出ていってしまった。それも早足で
彼と会うことしか考えておらず、いざ会ったら何を話せばいいか考えていなかった。
「ハア、ハア・・・彼気づいてなかったよね・・・」
彼は接客中でこちらを振り向かなかったので、大丈夫だと思う・・・
「というか・・・本当にいた・・・」
思わず顔がにやけてしまう。
舞風優に相談しようかと思ったが、彼女も色々悩んでいるっぽいし・・・どうしよう。
何を話すかをうまくまとめられないまま私は次の週もモンタに行った。
今日も彼はいた。一生懸命に働いていた。
本当は声をかけたかったが、できなかった。私は寺沢君を見れれば良かった。見るだけで心が躍った。
私はこの時、初めて恋をするということの意味を理解できた。
8月に彼と出会ったのは偶然だろう。
私はたとえ出会いが偶然だとしても、この出会いを偶然というだけで終わらせたくなかった。
この偶然を私は、運命の出会いだと思いたかった。
いや運命の出会いにする。
結局私が彼に話しかけることができたのは、寺沢君をモンタで見かけて4回目だった。
色々話すことも考えていたが、話しかけたら内容が飛んでしまった。
上手く話すことができなかった。
仕事中の彼の邪魔をしないようにと都合のいい言い訳を自分にして、帰ってしまった。
本当は彼にそっけない反応をされるのが怖かった。
その結果メッセージという手段になってしまった。
我ながら情けないと思う。
・・・・・
仕事終わりにメッセージを確認すると、寺沢君からメッセージの返信があった。
久しぶり。昨日は仕事優先しちゃってすみません。
僕も久々に話したいですし、お互いの都合があえばご飯行きましょう。
「やった・・・」
私はすぐにメッセージを返す。
良かったです。
私は基本的に18時に仕事終わります。それ以降は大丈夫です。
早く仕事が終わる日があったら、その日に晩御飯行きませんか?
誘っておいてなんですが、私と食事行って大丈夫ですか?彼女とか・・・
「うわー・・・大丈夫かなぁ・・・」
5分もしないうちに返信が帰ってきた。
仕事は18時半終わりなので、19時近くに待ち合わせになっちゃうけど、いいですか?
今週は水曜日、木曜日が休みです。今週はすべて仕事が20時終わりです。
来週は月曜日、水曜日が休みです。火曜日と金曜日が18時半終わりです。
メッセージには彼女がいるかは書いていなかった。
すぐに遅れてメッセージが届く。
ちなみに彼女はいないので、大丈夫です。
「そっか彼女いないんだ・・・」
私は安堵した。
「二人っきりか・・・私しっかり話せるかな?」
私は不安だった。
「そうだ!」
私はメッセージを送る。
私の友人の都合がついたら、誘ってもいいですか?




