夏の終わり① 八瑠佳視点
今日も仕事で疲れた。
私は今までこういう時に蓮君に電話をしていた。しかし、今はできない。
彼との電話は想像以上に、自分への癒しとなっていたことに気づいた。
今まで、気づいていなかった。当たり前になっていたことが、急になくなるのは思っていた以上にキツイ。
別れようと言ったのは自分なので、自分が悪いのだが・・・
「冷蔵庫になんかあったっけ?」
私は最近甘いスイーツを癒しにしていた。太るのは目に見えていたので、ランニングも始めた。
「・・・昨日でプリン食べちゃったか。買いに行こう・・・」
時刻は12時を回っていたが、私はこの寂しさをどうしても紛らわせたかったため外に出た。
・・・・・
アパートを出たところで、山下さんに出会った。
私は軽く会釈をして去ろうとする。
「河瀬今時間ありますか?」
私は前回会った時と同様呼び止められた。
「すみません。明日も早いので・・・」
私は断り、先に進もうとする。
「寺沢さんのこと気になりませんか?」
私は立ち止まってしまう。
「今寺沢さんと二人っきりでバーで飲んできたんですよ。何を話したか聞きたくないですか?」
「・・・・・」
「どうします?」
山下さんは挑発するように言う。
聞きたかった。彼が何を思っているか。
「・・・・・」
でも私のちっぽけなプライドが邪魔をする。
「前話した公園で待っています。」
山下さんは先に行ってしまった。
私は・・・
・・・・・
「待ってましたよ。」
「私が来なかったら、どうするつもりだったんですか?」
「その時は、その時です。酔いも醒ましたかったですし。」
「そう・・・」
「「・・・・・・」」
私たちは黙り込む。
「寺沢さんと別れたんですね。全部聞きました。」
「うん。」
「私チャンスだって思ったんですよ。振られて心が弱っている状態であれば、寺沢さんと恋人になれるんじゃないかって・・・」
山下さんは自虐するような笑顔を作り話す。
「恋人になれなくても、体の関係ぐらいもてるんじゃないかなって思いました。」
「・・・・!」
「気になります?」
「・・・・・」
まさか・・・私と付き合っている時は、誘っても応じなかったのに・・・
自暴自棄になって、山下さんと・・・




