2人きりの二次会③ 蓮視点
山下さんの想いに真摯に、誠実な答えを返さなければ。
もう隠し事もウソもなしだ。
同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。
「まずは、ありがとう。付き合ってくれるって言ってくれて。すごく嬉しかった。」
俺はまっすぐ山下さんを見る。
「でもごめん。しばらくは・・・当分は恋愛はいいかな。たぶん。」
「・・・・」
「まだ俺自身気持ちの整理がついていないし、仮に付き合ったとしても、あとで必ず後悔することになると思う。山下さんに対して誠実じゃないと思うから。」
「・・・・・知ってましたよ。というもし付き合おうとか言われたら、軽蔑しちゃいますよ。」
「・・・・・」
「寺沢さんを試したんですよー。」
「・・・なんだよー。騙されるところだった。」
「さあ、どんどん飲みましょう!」
・・・・・・
それから俺と山下さんは終電まで飲んだ。
胸の内にたまっていたものを吐き出せたせいか、気持ちよく飲むことができた。
「終電そろそろ出し、帰ろうか。」
「そうですね。」
「今日は俺が出すよ。話聞いてもらったし。」
「いやいや、寺沢さんの送別会の2次会ですから、私が・・・」
「いいよ。ここは先輩にかっこつけさせてよ。」
「・・・しかたがないですね・・・・おごられときます・・・・」
俺たちは会計を済ませて、店を出た。
「駅まで一緒だったよね?」
「はい、時間ギリギリですね・・・」
「早歩きでいこう。」
俺たちは早足で駅に向かう。
「今日はありがとう。」
「いえいえ、私も楽しかったです。あと一週間ですもんね。」
「うん。勤務は4日間だけ。ほとんど引継ぎも終わっているし、俺のやるべきことは終わったかな。」
「寂しくなりますねー。」
「そうだね・・・」
そんなことを言っている間に、駅に着いた。
「ホームは反対側だったよね。」
「はい。」
「じゃあ、また。お疲れ様。」
「お疲れ様です。」
俺たちは反対側に歩き出した。
「寺沢さん!」
山下さんに呼び止められる。
「もし・・・もし、いつか寺沢さんの恋愛の傷が癒えて、前向きに恋愛しようって思えるようになった時相手がいなければ、私に声をかけてもいいでからね?」
「・・・・・」
「もし、私に彼氏がいたらダメですけど・・・」
「・・・ありがとう。もしかしたらお願いするかも」
「期待しないで待っています。」
今度こそ俺たちは別れた。
「本当にいい後輩を持ったな・・・」
誰にも聞こえないほどの声でつぶやいた。




