2人きりの二次会① 蓮視点
8月が終わり、9月になった。少し、過ごしやすい気温になった。
俺の異動はあと1週間に迫っていた。
「今日はありがとうございました。」
「寺沢君と飲める機会は最後になりそうだったからね。」
「そうですよ。寺沢さんにはお世話になったんですし。」
今日は店のみんなが送別会を開いてくれた。久しぶりの飲み会ということでとても楽しめた。
「じゃあ、ここで解散しましょう。お疲れ様でした。」
店長が解散を宣言する。
「「「「「お疲れ様でしたー。」」」」」
皆がそれぞれ帰路につく。
「明日の朝ご飯のパンがないな・・・」
俺はコンビニに向かう。
「寺沢さんっ!お疲れ様です。」
「山下さん、お疲れ様。買い物?」
声をかけてきたのは後輩の山下 菜都美だった。
「違います。寺沢さんって明日休みですよね?」
「そうだよ。山下さんは?」
「私も休みです。ということで2人で飲みに行きませんか?」
「・・・・・いいよ。1年前に約束したし。」
「・・・覚えてくれてたんですね・・・意外でした。」
「心外だなー。ここら辺でいい店知ってる?」
「知ってますよ。行きましょう。」
◇
山下さんに連れて来られたのは俺が普段絶対にこないオシャレなバーだった。
「こんなところ初めて来た・・・」
「私も通っているわけでもないですが・・・前に友達と来たんですよ。」
俺たちはカウンター席に座る。
「なに注文しようかな・・・カクテルとか詳しくないしな・・・」
「寺沢さんたしか果実酒好きでしたよね?」
「うん。」
「このジャックローズってどうですか?アップルブランデーを使ってますよ。」
「良さそうだね。じゃあ、ジャックローズにしようかな。」
「私も同じのにします。」
注文をすると、山下さんが話し出す。
「寺沢さん、嫌なこと聞いていいですか?」
「・・・ん。いいよ。」
「彼女さんと別れました?」
「・・・うん。バレてた?」
「上手く隠してるなーって感じでした。」
「そっか・・・今日も聞かれたら話すつもりだったけど、聞かれなかったし・・・」
「みんな気づいていなさそうでしたよ。別れた原因は何なんですか?」
「・・・・・」
すべて話せば、長くなる。端的に言うのであれば・・・
「俺の隠し事が原因かな。」
「隠し事ですか・・・オタクの趣味のことですか?」
「いや、それは付き合う前に言った。俺が・・・」
言いかけたところで、カクテルが届く。
「これがジャックローズかー。飲んでみよ。」
「寺沢さん、続き聞きたいです。」
「うん。俺が彼女以外の女性とキスしてそれを隠していたのが原因かな。」
俺はカクテルを一気に飲み干す。
お酒には強くないが、飲まずにはいられなかった。
「すみません。同じものをお願いします。」
「・・・・・」
「軽蔑した?俺のこと。」
「・・・最初に思ったのは寺沢さんってモテるんだなーって思いました。詳しく聞かせてもらっていいですか?軽蔑するかはその後決めます。」
「長くなるけどいい?」
「ええ、時間はありますから。」
俺はこれまでのことをゆっくりと話し始めた。




