電話① 八瑠佳視点
私は蓮君に別れを告げて喫茶店から出た。
未練がないと言えばウソになる。いや、未練がありすぎる。
彼のことは本当に好きだった。
本当に好きになったからこそ、私は彼にホンモノを求めた。求めてしまった。
ホンモノを求めなかった方が良かったのかな?
今でも疑問が残る。
しかし、立ち止まるわけにはいかない。
私は彼と別れるということを選んだのだから。
気分は重かったがなんとか歩き出した。
◇
私は家に帰った。
何も考えたくなくて、ベットに倒れこんだ。
彼との思い出が蘇る。
クリスマス、誕生日、バレンタインなど本当に楽しかった。
私が憧れていた恋愛はすることができた。
(私がそれで満足したら良かったのに・・・)
人間とはなんて欲深い生物なんだろうか。
欲しいものが手に入ったらそれ以上を求めてしまう。
きっと私はこの選択をしたことを後悔してしまうだろう。
そんなことわかりきってたのに・・・
わかっていても、後悔するとわかっていてでも私は、ホンモノを欲しがった。
・・・・・
「ん・・・」
時計を確認すると、時刻は6時半だった。
「寝すぎた・・・あれ・・・」
頬が濡れていることに気づく。
「私、泣いていたんだ・・・」
私は洗面所に向かう。
「ひっどい顔・・・」
顔を洗う。鏡を確認すると、私の顔はまだひどい顔をしていた。
私は冷凍うどんで軽く食事をすまして、お風呂に入った。
2か月前であれば、彼とメッセージのやり取りをしたり、電話をしたりしていた。
今後はすることはないだろう。
私の日常から彼の存在が消えていく。
きっと、それが当たり前になっていくのだろう。
これが人との関係が切れるということなのか。
心に穴がぽっかり空いた気がする。
♪~~~
スマホが着信を知らせる。
誰からだろう。
あるはずのない可能性を考えてしまう。
ありえないのに期待してしまう。
私は恐る恐るスマホを確認する。
「え・・・」




