選択 舞風優視点
先週見かけたのは、本当にあいつ、寺沢蓮だったのだろうか?
ずっとそればかり考えている。
しかし、確認する手段はない。
もちろん八瑠佳に連絡すればわかるだろうが、今の状態では連絡したくてもできない。
私は逃げている。現実から、八瑠佳から、あいつから。
あいつに説教した私はもういない。
自分でも情けないとは思う。
人に本音で向き合えと偉そうに説教しておきながら、自分は本音で向き合おうとしない。
千愛希に相談しよう。そうだ、それがいい。
私は思いつくと同時に、千愛希にメッセージを送る。
千愛希は自宅にいるようで、電話も大丈夫だということだ。
私はメッセージを見るとすぐに電話する。
(私本当に千愛希に依存しているな・・・)
「もしもし、ちょっと相談したいことがあるんだけど・・・」
「うん。いいよ。」
「私、先週名古屋にいた時に好・・・気になる人がいて、その人を見た気がするんだ。確認したいんだけど、その人の連絡先は知らないし、他に確認できる人はなんというか絶好状態で・・・」
私は上手く話せなかった。
「・・・ええと、情報が一杯だね・・・まず、名古屋にいた時に気になっていた人を見かけたけど、確認手段がないってことだね?」
千愛希も困惑している。
「そういうことです。さっき言ってた確認できる人と仲直りできないの?」
私は千愛希に名古屋の出来事を話したことはない。
私は初めて千愛希に思っていたことを話した。
「・・・そうだったんだ。舞風優もしんどい恋愛してきたんだね。話を聞く限り、確かにすぐに仲直りは厳しそうだね。」
「うん。私のこと軽蔑した?」
「ううん。そんなことないよ。」
本当に千愛希は優しい。
「恋愛ってそういうものだよね。過ぎてからしか気づかないことってあるよ。前に話したけれど、私の経験からだけど。私は身体が勝手に動くって経験はないけど、舞風優が本当にその人のこと好きだったから、動いちゃったんじゃない?」
「ありがとう。わかってくれて・・・」
私は泣きそうだった。
「その絶好状態の親友とは仲直りしたいの?」
「もちろん。」
「でも、親友の彼氏が先週に金沢に来ていたかも知りたいと・・・」
「うん・・・」
千愛希は黙り込む。
「・・・舞風優。残念ながらその二つの願いを両方とも叶えるのは厳しいと思う。どちらかを選択するしかないよ。」
「・・・・・そうだよね。」
「友情か恋か・・・どちらを選ぶかか。難しいね。きっとどちらを選んでも後悔すると思うよ。」
「知ってる。この一年間選べなかったもん。」
「少しでも後悔しない方を選ぶしかないね。」
「うん。選択頑張ってしてみるよ。」
「応援してる。いつでも相談に乗るから。アドバイスはできないけどね。」
「そんなことないよ。話聞いてもらえて楽になったよ。」
「私も前に話聞いてもらったしお互い様だよ。気にしないで。」
「ありがとう。」
電話はそこで終わった。
「ふー・・・どうしようかな。」
私はどちらを選べば後悔しないだろうか?




