邂逅③ 蓮視点
蓮は金沢に着いたらまず予約していた不動産会社に向かった。
事前にインターネットでめぼしい物件は探していたので、話はスムーズに進んだ。
蓮が優先したのは、広さと職場への距離だ。
今の家では、物が多くなってしまい置き場所に困ることがあった。
今までは誰かが来るなんて考えもしなかったため、部屋は広くない。生活ができれば特に困らなかった。しかし、八瑠佳も泊まることがあったので狭いと感じるようになった。
職場への距離は少しでも睡眠時間を確保したいということからだ。今は家賃を優先したがゆえに通勤時間が1時間ほどかかる。今回はその半分以下には抑えたいところだ。
不動屋さんの人と相談をして実際に見ているところだ。
「どうですか。この3件目の物件は?」
「1件目と2件目よりきれいでいいですね。それに広いです。だだ、少し高いですね・・・」
でも、この金額ならだせるか・・・
「この3件目の物件にします。」
「ありがとうございます。では、事務所の方にもどりましょう。」
・・・・・
「記入いただく書類は以上になります。審査の結果は後日連絡させていただきます。」
「わかりました。」
「連絡させていただき時に、また書類の説明をさせていただきます。」
「わかりました。ありがとうございました。」
「ありがとうございました。名古屋まで気を付けてお帰りください。」
蓮は不動産屋を出る。次は新しい職場に挨拶に行く予定だ。
◇
「ここが金沢西店か・・・話には聞いてたけど大きいな・・・」
今の職場である名古屋中央店の2倍くらい広い。その上スタッフが少ないということは仕事量が増えそうだ。
俺は店に入る。
「はじめまして。モンタ名古屋中央店勤務の寺沢さんと申します。店長は今お手つきでしょうか?」
「ご丁寧にありがとうございます。私は、荒井と申します。店長を呼んできますので少々お待ちください。」
「はい。お願いします。」
荒井さんはバックルームに入っていった。すぐに店長と一緒に出てきた。
「はじめまして。店長の白川と言います。9月からよろしくお願いします。」
「寺沢と申します。よろしくお願いします。」
・・・・・
店長に施設設備や準備することを一通り聞いた。
「家は決まった?」
「はい。ここから徒歩20分くらいです。」
「準備は順調みたいだね。これから名古屋へ帰るの?」
「はい。」
「気を付けて帰ってね。」
「はい。今日はありがとうございました。」
「お疲れ様。」
「お疲れ様です。」
俺はお辞儀をして店から出る。
「ふー疲れた・・・」
時計を見ると14時を少し過ぎていた。今から帰れば、日が暮れるまでに名古屋に帰れるだろう。
俺は車を停めた駅前の駐車場に向かう。
休日の金沢は想像以上に混雑していた。外国人観光客も多い。
(英語とか話せないんだよなぁ・・・勉強しないといけないのかな?)
「え・・・」
俺は前から歩いてきた女性に目が釘付けになる。
俺が見ていると女性も気づいたようで、足を止める。
視線が合う。
「すみません。」
立ち止まったせいでぶつかってしまった。
(そんなわけない・・・見間違いだ・・・)
もう一度振り返るが、俺は見つけることができなかった。
(そんな偶然あるわけないよな・・・)
俺は考えるのをやめ、車に向かった。




