邂逅② 蓮視点
八瑠佳と喫茶店で会ってから、2週間が過ぎた。
一週間経ったときに話し合いたいというメッセージを送ったが返信は来ていない。
既読は付いているが返信がないということは、もう彼女に会う気はないのだろうか。
彼女に何を伝えたらいいのか?色々考えても言い訳にしか思えなかった。
だから、モノで俺の気持ちを表そうと決めた。
八瑠佳に会いたい。以前のような関係に戻りたい。
できれば、お互い納得して会いたい。店に押し掛けるとかで会おうとは思っていない。
俺の八瑠佳に対する誠実を貫き通すつもりだった。
だから俺は八瑠佳からの返信を待とうと思う。
・・・・・
俺は迫ってきている異動の準備を進めていた。
店では仕事の引継ぎと必要書類の用意やることは多かった。
自宅では引っ越しの準備だ。荷物の箱詰めに引っ越しの見積もり等の準備をしていた。
今日は金沢に家の下見に行く。というか今日で決める。
「金沢って思っていたより近いんだな・・・」
現在俺は高速道路で金沢に向かっている途中のサービスエリアで休んでいる。
もう半分くらい来ている。
本当は八瑠佳と一緒に来たかった。一緒に金沢観光をしたかった。
今回は叶わなかったが、いずれ来たいと思う。
まだまだ八瑠佳としたいことが山ほどある。
これも今回の山場を乗り越えられたらのことだが・・・
「・・・いくか。」
缶コーヒーを飲み干し、俺は車に向かった。
・・・・・
運転しながら考える。
あったかもしれないことを。
もし、あの時神谷さんの誘いを断り、神谷さんに怒られなかったらどうなっていたのだろうか?
考えたことはなかった。
彼女に指摘され、初めて考えた。
八瑠佳と付き合うことにはならなかった可能性が高いと思う。
「そりゃ、八瑠佳も怒るか・・・」
俺は自分と向き合って本音に向き合ったわけではない。
神谷さんに後押しされたからだ。
八瑠佳に対する想いは自分自身で向き合わなければならなかった。
正直に神谷さんに怒られてと八瑠佳に言ってれば良かったが、俺は言わなかった。
ここでも俺は自分をよく見せようとしていた。
つくづく自分という人間が嫌になる。
「・・・・・俺は最低だ・・・」
俺はそんなことを考えながら、金沢に車を走らせた。




