不安③ 八瑠佳視点
「蓮君・・・どうして・・・」
「今日話したいことがあって・・・」
「蓮君っ・・・」
私は人目も気にせず、蓮君に抱き着く。
「えっ・・・おお・・・」
錬君は驚いていた。
「あなたって人は・・・どうして・・・」
「・・・状況が呑み込めないんだけど、どうしたの?」
「私が一番話したいタイミングできてくれてたの!」
「八瑠佳も?」
「え?蓮君も?」
私たちはお互いに相談したいことがあるようだ。
「場所移そうか・・・どこか店入る?」
「どこかで買い物して私の家に行かない?」
「いいよ。じゃあ、行こうか?」
「うん。」
私は蓮君の手を握る。蓮君に会って、私は少し元気になった。
・・・・・
時刻は家に着いた時には9時を回っていた。
食事を済ませてから、私は2人分のコーヒーを用意して、話を始める。
蓮君だって話したいことがあったはずだが、私の話を聞くことを優先してくれている。
「今日ね、副店長にならないか?って店長に言われたんだ。事前の連絡もなしに・・・」
「うん。」
「それで、いつかできる予定の新店の店長もやることになることになりそうで・・・私じゃ力不足だと思って不安で・・・」
「そっか・・・悪いけど、俺は飲食店で働いたことはないし、管理職の経験もない。だから、仕事に関してアドバイスは正しいかはわからない。」
「うん。」
「でも、こうやって話を聞くことはできるし、味方でいることはできる。俺は八瑠佳の一番の味方であるつもり。」
「うん。」
「たとえ、八瑠佳が何を決断しても絶対にそれを尊重するし、応援する。店長もそうだと思う。」
「うん。」
「店を任せられるって誰でもできることじゃないと思う。八瑠佳が今後のためにレベルアップしたいと思うのであれば、頑張ってもいいと思う。やらないで後悔するなら、やって後悔したらいいと思う。」
「うん。」
「俺としては、八瑠佳と離れることになるかもしれないっていうのは寂しいけど・・・」
「そうだね・・・それは寂しい・・・」
「だだ・・・もう・・・」
蓮君が何か言おうとしたときに私は泣き出してしまった。
「えっ、八瑠佳大丈夫?俺なにか嫌なこと言った?」
「言ってないよ・・・ただ、私が欲しいことを言ってくれただけ。」
「そっか」
私が泣き止むまで、蓮君は優しく慰めてくれた。
「八瑠佳、もう大丈夫?」
「うん。ごめんね。」
「明日仕事だし、帰るね。」
「ありがとう。だいぶ楽になったよ。」
蓮君は急いで準備をする。
「来週の水曜日、休みだったよね?」
「うん。そうだったと思う。」
「大切な話がある。いつもの喫茶店で会いたい。」
蓮君はいつになく真剣な表情だ。
「うん・・・わかった。」
「じゃあ、また・・・」
蓮君は手を振って出ていく。
話って何だろう・・・気になる。
でも今は私の周りにこんなに私のことを思ってくれる人がいることの嬉しさが勝る。
すっかり不安は消え去っていた。




