急な異動 蓮視点
「いらっしゃいませー。」
俺は新商品を陳列するための売り場を作成していた。
異動が来ると思いつつ、いまだ俺はモンテ名古屋中央店に勤務していた。
変わったことといえば、先輩が半年前に異動になり、新人が入ってきたことだ。その新人ももう入社して半年たつのでだいぶ仕事ができるようになってきた。
「寺沢さーん。」
山下さんが電話を持って走ってくる。
「電話ですか?」
「専務からですよ・・・」
「・・・・・マジ?」
専務から電話がかかってくる要件は1つしかない。異動だ。モンテでは専務から移動指示がくる。
俺は電話を受け取り、バックルームに入る。
深呼吸をして保留を解除する。
「お疲れ様です。寺沢です。」
「はい。お疲れ様です。僕が電話している時点でだいたい察していると思うけど、寺沢くん異動です。」
「はい・・・」
「場所は金沢です。時期は確定ではないけど、9月中に異動して欲しいです。」
「はい・・・急ですね。」
異動は半年前から3ヶ月前に言われることが多いらしい。そう考えると、急な異動である。
「金沢のスタッフが1名7月で急に退社して、その上6月に女性スタッフが産休に入って、今3人で店を支えている状況です。なので、その2人の穴を埋めてもらいたくて、異動してもらいたいです。」
「わかりました。電話ありがとうございました。」
「また、店長と相談してください。では、お疲れ様です。」
「お疲れ様です。」
そこで電話が切れた。
「ふうー。ついにきたか・・・」
「寺沢さん・・・異動ですか?」
電話を横から見ていた山下さんが聞いてくる。
「金沢に異動だってさ・・・9月中に異動らしい・・・」
「それは、急ですね・・・」
「ホントにね・・・」
異動はいつかすると思っていたので、特に驚きはない。
(金沢か・・・)
どうしても神谷さんのことが浮かぶ。
それに、八瑠佳と会うことが難しくなりそうだ。
「というか、色々書類を作成しないと・・・やることがたくさんあるな・・・家も探しにいかないと・・・」
それからの仕事は異動のことを考えていて、仕事に身が入らなかった。




