別れ⑧ 八瑠佳視点
今日蓮君はが休みなのは知っていた。本来の私であれば、最初から一緒に行く約束をしていた。
だが、私は前回の送別会の様子から、舞風優に彼を会わせるのが怖くなってしまった。
もしかしたら、舞風優は彼のことを好きなのではないか・・・なんてことを私は考えてしまった。
結果私は、一人で見送りにおくことを選んだ。
舞風優が彼と会ったのは2回で、1回は話していないはずだ。お互いを知るのはあまりにも短い。
まさか2人は私が知らないところで会っていたのだろうか?可能性はゼロではない。
でも、私は2人を信じたかった。大好きな2人を疑いたくなかった。
いや、この考えが真実であることを少しでも考えたくなかった。
私はこの疑問から逃げてしまったのだ。
私は見送りに行けなくなったと決まった時迷った。
写真を渡さないか蓮君に届けてもらうかどちらの選択肢をとるか。
迷った結果、私は2人を信じることに決めた。私の疑問は気のせいであったとそう思うことにした。
(一体私はいつから、こんなに人を疑うようになってしまったのか・・・)
こんなことを考えてしまう時点ですでに、2人を信じきれていないということになる。自分で自分のことが嫌になる。
蓮君と出会ったことで、私は自分の嫌なところが見えるようになってしまった。
いや、ちがう・・・私は自分の嫌なところを見てこなかったんだ・・・
・・・・・
「八瑠佳さん、店長から電話があって、来てくれるそうです。八瑠佳さんは帰ってもいいよって言ってました。」
栞ちゃんから、報告を受ける。
「いや、店長が来るまではいるよ。今はそれほどだけど、急に忙しくなるかもしれないし。それに、用事は他の人に頼んだから、大丈夫だよ。」
「本当にありがとうございます。」
「気にしないで。」
◇
今日は昼のピークはそれほど、忙しくなかった。
伝票の整理をしていると、
「八瑠佳さーん、彼氏さん来ましたよー。」
「ちょっ・・・」
私は急いで入り口に向かう。
「ちょっと・・・栞ちゃん・・・声が大きい・・・」
入り口には蓮君が来ていた。
「急に頼んじゃってごめんね・・・じゃあ、これを舞風優に渡してもらっていい?」
私は用意していた封筒を蓮君に渡す。
「気にしてないよ。じゃあこれを渡してくる。時間もギリギリだし、もう行くよ。」
「お願い。昼のピーク過ぎたら、私も行くけど、ギリギリ間に合わないとかなったら嫌だし。」
「そうだね。またメッセージ送る。」
蓮君は出ていく。
・・・・・
蓮君が出ていってから、30分ほど過ぎた。
「あの人が八瑠佳さんの彼氏なんですね・・・」
栞ちゃんがニヤニヤしながらこちらを見る。
「そうだよ・・・」
改めて言われると、照れてしまう。
その時、入り口のドアが開いた。入ってきたのは店長だった。
「お待たせー。遅くなってごめん。」
「お疲れ様です。そんなことないです。」
「八瑠佳ありがとうね。もう上がっていいよー。」
「ありがとうございます。すみませんが、失礼します。」
「お疲れ様。」
「八瑠佳さん、ありがとうございました。」
私は2人に軽く頭を下げ、バックルームに行く。
「八瑠佳さん、今日予定あるのにそれをキャンセルしてきてくれたんですよ。」
「本当に良い子だね。」
・・・・
私はさっと用意を済ませ、裏口から、出ていた。
時刻は13時半を少し過ぎたところだった。
「間に合うかな・・・」
私は早足で歩く。
空は今にも雨が降りそうだった。
「あ・・・店に傘忘れた・・・」
私は傘を忘れたことを思い出したが、戻らずそのまま駅に向かった。




