別れ⑦ 八瑠佳視点
舞風優の見送りの朝、私が朝食を食べていると電話が鳴った。栞ちゃんからだった。
栞ちゃんは今日出勤だったはずだ。何かあったのかな?
「もしもし。」
「お疲れ様です。今大丈夫ですか?」
「うん大丈夫だよ。」
「今日出勤予定の、市川さんが急に体調が悪くなって、出勤できなくなったんですけど、今日ヘルプ入ってもらうことできますか?」
「うーん・・・実は予定があるんだよね・・・いま他の人にも電話してるんですけど、つながらなくて・・・」
「わかった。行くよ。」
「本当ですか?申し訳ないです。」
電話が終わる。
「仕方ないか。舞風優に行けないかもって伝えなきゃ・・・」
私は舞風優にメッセージを送る。
さっと用意をして、家を出る。
・・・・・
「八瑠佳さん、本当にすみません。予定があったのに・・・」
栞ちゃんは申し訳なさそうに謝る。
「栞ちゃんのせいじゃないよ。こういう時は助け合いでしょ。」
「八瑠佳さん・・・ありがとうございます。」
「よし、じゃあ私フロア入るね。」
私はフロアに入ろうとする。
「ごめん、栞ちゃん少し電話してきていい?」
私はどうしても舞風優にこの封筒の中にある写真を渡したかったので、蓮君に頼ることにした。
「出ないなぁ・・・」
「・・・もしもし?」
「もしもし?もしかして寝てた?」
「うん・・・」
蓮君は眠そうだ。
「起こしてしまってごめんね。」
「いや、いいよ。どうしたの?」
「今日、舞風優が金沢に出発する日なんだ。見送りに行く予定だったんだけど・・・今日出勤の子が病気で来れなくなっちゃって、私が代わりに出勤してるんだけど・・・代わりに行ってもらうことできる?」
蓮君は私のお願いを嫌な顔をせず、引き受けてくれることを知っていた。普段は彼の優しさに漬け込むみたいなので、お願いをするのは好きではなかった。
きっといつか罰が当たる気がして・・・
「うん。いいよ。名古屋駅だよね?」
ほらね・・・私は彼の優しさに甘えてはいけない。これを常に覚えておかねば・・・
「ありがとう。出発するのは名古屋駅なんだけど、実は渡したいものがあって、一度お店に来てもらっていい?時間ギリギリになりそうだけど・・・」
「わかった。すぐに行くよ。じゃ、電話切るね。」
「ほんとごめんね。」
「気にしないで。」
そこで電話が終わった。




