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ホンモノノスキ  作者: リンゴ
言えない本音
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別れ⑤     舞風優視点

新幹線の切符を購入して、駅のホームに入る。


平日のこんな時間ということで、人は少ない。


私はホームのベンチで、あいつが来るのを待つ。


時刻は13時半ちょっと前だ。



・・・・・・


少しすると彼がホームに上がってくるのが見えた。


一瞬目があったように感じた。


彼はこっちに向かってくる。


「お久しぶりです。」


「久しぶり。」


「走ってきたの?」


「少しね。時間が思ったよりなくて。」


寺沢さんが、封筒を渡しに渡す。


「これ、八瑠佳から預かってきたもの。」


「ありがとう。」


私は中身を確認する。中には八瑠佳と撮った写真が入っていた。


「なるほどね・・・」


これはもしかしたら、八瑠佳が私が寺沢さんと二人きりになると何が起こるかわからないから、自身を思い出させるために渡したのかもしれない。


いや、さすがに考えすぎか・・・私は嫌な女だ・・・彼女の良心を素直に受け入れられないのだから。


寺沢さんが不思議そうな顔をしている。


「この前、八瑠佳に写真立てもらったんだ。それに入れる写真ってわけね・・・」


私はとっさにごまかす。


「なるほど・・・今日俺が来るって知ってたの?」


「八瑠佳からメッセージ来てた。」


私は彼の顔を見るのは怖かった。なので写真を見るふりをして、下を見ていた。ウソを付いてしまった私の顔を彼に見られたくなかった。


「懐かしいな・・・確かに八瑠佳写真たくさん撮ってたな・・・」


「へー。八瑠佳写真好きなんだ。」


「これからたくさん撮ることになると思うよ。」


「そっか。」


そのタイミングで彼はカバンを開けて、何かを探している。


「これ・・・」


「え・・・」


私は小さな包装紙を受け取る。


「開けていい?」


「どうぞ。」


私は恐る恐る包装紙を開ける。中にはバレッタが入っていた。雪の結晶をモチーフにしたようなシンプルなデザインのバレッタだった。


私はゆっくり手に取る。


(これは卑怯だ・・・こんなのもらっちゃたら私・・・)


「好みではなかった?」


「いや、嬉しいよ。デザインも好きだし・・・でも、こういうのは八瑠佳に贈った方がいいんじゃない?」


「あんまり良くないのは承知のうえだよ。でも、あの日居酒屋で神谷さんに、怒られなかったら俺は八瑠佳と付き合うことはなかっただろうし・・・感謝の気持ちとして受け取ってもらえないかな?」


「・・・・・うん。もらっておくよ。」


私たちはしばらく沈黙していた。


「あのさ・・・写真撮らない?」


「・・・俺と?」


「うん。」


「まあ、いいけど。」


私たちは立つ。


「誰かいるかな?」


「人いないし、私のスマホで撮ろ?」


私は彼に近づく。


「撮るよ・・・はい、チーズ。」


こうして写真を撮った。


やってしまった・・・


八瑠佳に申し訳ないと思いつつ、自分の気持ちが抑えきれない。


時刻は14時になる5分前だった。


もう新幹線は到着していた。まだ八瑠佳は来ていない。




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