別れ④ 舞風優視点
私は今日で名古屋から金沢に異動する。
仕事での引継ぎは終わったし、引っ越しも荷物は全部業者に預けた。
職場の人には送別会もしてもらったし、少ないが名古屋の友人とも別れも終わった。
名古屋での有名観光スポットもほとんど行ったし、名物料理も食べた。
名古屋での心残りは1つしかない・・・あいつのことだ・・・
住んでいたマンションの管理会社の人に鍵を返して、私は駅に向かう。
時刻は12時前だった。
・・・・・
私は自宅近くのよく行っていた喫茶店に入る。
いつもの席で、いつも頼んでいたコーヒーとパスタを注文する。
八瑠佳から、メッセージが来ている。
どうやら急なヘルプで来れなくなったみたいだ。正直良かった。
八瑠佳との送別会で八瑠佳に私の気持ちを感づかれてしまった気がする。
会ってもどんな顔をしていいかわからない。
「え・・・・」
八瑠佳のメッセージには続きがあった。どうやら、八瑠佳のかわりに寺沢さんがくるらしい。
「それの方が困るな・・・」
そう言いながらも、内心あいつに会えるのがうれしかった。
そろそろ、認めなければいけない。私はあいつのこと、寺沢蓮のことが好きだ。
理由は上手く説明できない。回数も3回しか会っていない。しかもその内1回は喋っていない。
「なんでだろうな・・・なんで好きになっちゃうかな・・・」
この気持ちは伝えてはいけない。
誰も幸せにならない。絶対に。
だから、私はこの想いを秘密にしたままにしていなければ、いけない。
正直、辛かった。誰にも話せなかったし、吐き出すこともできなかった。
それも今日で終わる。きっと金沢に異動したら、いつの間にか忘れてしまうだろう。
時間が解決してくれるはずだ。
「そろそろ、行こう・・・」
私は喫茶店をでて、駅に向かう。時刻は13時15分だった。
「天気、悪いな・・・」
まるで私の心のようだった。
私は傘を引っ越し業者に渡してしまったことを思い出した。
天気が悪くならないことを祈りつつ、歩きはじめた。




