初耳 蓮視点
もうすぐ日が沈む時間になったので、名残惜しいが帰る時間になってしまった。
「駅まで送っていくよ。」
「いいよ。まだ明るいし、大丈夫だよ。」
「俺が、八瑠佳と一緒にいたいからじゃ、駅に送る理由にならないかな?」
「・・・よくそんな恥ずかしいこと言えるね・・・。」
「う・・・。まあ、家の中だからね・・・。」
「でも、嬉しいです。お願いしていい?」
「もちろんです。」
2人は外に出る。
「夏だねー。」
「そうだね。夜も暑いし。」
「あ、言うの忘れてたんだけど、次の休みは会えないんだけどいい?舞風優の送別会をするんだ。」
「え・・・神谷さんの?」
「言ってなかったっけ?舞風優、9月から金沢に異動になるんだ。」
「初めて聞いた・・・そうなんだ。」
「寂しくなっちゃうなー。でも金沢に行く理由もできたし、旅行に行こうよ。」
「そうだね。」
そんなことを話していると駅に着いた。
「じゃあ、ありがとう。バイバイ。」
八瑠佳は手を振る。蓮も手を振る。
「バイバイ。」
・・・・・
(神谷さん異動しちゃうのか・・・そういえば別れ際に、もう会うことはないって言ってたな。あれはこういうことだったのか。)
蓮は八瑠佳を送った後、自宅で考える。
「たぶん、河瀬さん・・・じゃなかった。八瑠佳から結果は聞いているだろうけど、直接ありがとうって言いたかったな・・・」
蓮は舞風優の連絡先を知らないし、八瑠佳に聞くのもなんか勘繰られてしまいそうだ。
「まあ、仕方ないか。八瑠佳に伝言をお願いしよう。」
今度会った時までに考えておこう。なんかプレゼントでも用意しようと蓮は思った。
蓮は八瑠佳がいた場所を見る。
(そんなことより・・・今日キスしたんだよなぁ・・・)
まさか、八瑠佳からされるとは思っていなかった。
いつかはしたいと持っていた。下の名前で呼ぶこともまだだったし、手をつなぐのもまだ慣れなさそうだったし、ゆっくりでいいと思ってたんだけどなぁ。
今日で2人の距離が一気に縮まった気がする。
少し前までは仕事や未来のことばかり考えていたが、今は八瑠佳のことばかり考えている。
マイナスなことを考えることがすごく減った気がする。恋愛はこんなにいいものだったんだと改めて蓮は思う。
交際は上手くいっている。そうなにもかも順調だった。




