返事② 八瑠佳視点
八瑠佳と蓮は早朝の誰もいない公園を歩いていた。
「「・・・・・」」
2人の間に会話はない。ただ雨の音だけが響く。
八瑠佳は立ち止まる。
「ここは・・・」
「そうです。この前私が、寺沢さんにふられた場所。そして、昨日寺沢さんに告白された場所。」
「・・・」
「寺沢さん、一週間で考えを正反対にしちゃだめですよ・・・私困っちゃいます・・・」
「そうですよね・・・自分でもとんでもないやつだと思います。」
「そんな、考えをころころ変える人だったら、私への気持ちもすぐになくなっちゃうんじゃないかって不安になっちゃいます。」
「そんなことはないです。この気持ちはホンモノで、変わらないです。」
寺沢さんははっきりと断言した。
「どうでしょうね・・・人の心は変わりやすいって言いますしね・・・」
「俺は・・・」
「ごめんなさい!試すようなことをしちゃって。」
これ以上、寺沢さんを困らせるのは限界だった。
私は彼の気持ちがホンモノか試したいという気持ちもあった。彼は一週間前と違って、彼の心の声を聞けた気がする。
一週間前は、本音がどうも見えなかったが今は違う。彼の心からの声が聞けたような気がする。一体どんな心境の変化があったのだろうか?
人の心の声を聞くのは難しいと思う。彼の今の気持ちもホンモノかなんてわからない。けど、それはあまりにも悲しい。
私は彼を信じたいと思う。人と人が理解するのは「信じる」しかないと思う。
だから・・・
「1週間前に伝えたかったことを言います。」
私は深呼吸をする。
「私、寺沢さんのこと好きです。最初は山でおんぶして助けてもらうっていう現実離れしたシチュエーションで気になってしまいました。一目惚れに近い感じだと思います。」
寺沢さんは黙ってこちらを見ている。
「でも何回も会うことで寺沢さんのことが好きになりました。あなたの優しいところが好きになりました
。自分の知らないところをあなたといることで知ることもできて・・・。毎日が楽しかった。会わなくてもメッセージでやり取りするだけでドキドキした。」
自分でもわかる。声が震えている。
「この前寺沢さんにもう会わないって言われて、すごく悲しかった。大げさだけど本当にこの世の終わりみたいな気持ちになった。あなたがいないことがこんなにさみしいなんて思わなかった。だから、これ以上私を・・・悲しませないで欲しいです・・・。」
1mほど離れていた寺沢さんは、傘を放り投げて近づいてくる。
「ごめん・・・。本当にごめんなさい。」
寺沢さんは、私の目の前に来た。
「もう二度と悲しい思いをさせないから。」
寺沢さんは私を抱きしめる。私は傘を落としてしまう。
「河瀬八瑠佳さん、あなたのことが好きです。俺と付き合ってください。」
「はい・・・私もあなたのことが好きです。あなたの彼女にしてください・・・」
2人は抱き合う。
曇天だった空から、光が差し込む。雨は上がったようだ。
どれほどの時間抱き合っていただろうか。2人は離れる。
「晴れてきましたね。」
「はい。あっ、虹が・・・」
「本当だ・・・」
まるで2人を祝福するかのようにきれいな虹が出ていた。
2人はどちらかともなく手をつなぎ、虹を眺めた。




