本当の気持ち② 蓮視点
蓮が振り返ると、八瑠佳が立っていた。
蓮に傘を差したのは八瑠佳だった。
「なんで、私のメッセージ見てくれないんですか!!」
「スマホの充電切れちゃって・・・」
蓮のスマホの充電は夕方になくなってしまっていた。
「めちゃくちゃ濡れてるじゃないですか・・・!!いつからいたんですか!!」
「朝の10時からです。」
「なんで・・・私と約束してからにしないんですか!?」
「前回会った時にもう会わないって自分から言っちゃったし、河瀬さんから返信もらえるとは思わなかったから。」
八瑠佳はタオルを蓮に差し出す。
「ありがとうございます。俺・・・どうしても河瀬さんに伝えたいことがあって・・・」
「まずは雨の降っていないところに移動しましょう・・・話はそれからでもいいですよね?」
「・・・いや。ダメです。今伝えないと・・・」
蓮は移動しようとしていた八瑠佳を止める。
「俺、逃げていました。自分からも、河瀬さんからも。」
「・・・・・」
「河瀬さんが真剣に向き合ってくれて、俺もそれに応えたいって思った。今までは傷つくことを恐れて前に進むことを諦めて、逃げ道に行きがちだった。でも、これからは傷つくことを恐れず前に進もうと思う。何事にも正面から向き合う。だから・・・」
俺は深く息を吸い込む。
「今更ですが、河瀬さんと向きあいたいです。」
「・・・・・」
「俺、河瀬さんのことが好きです。俺と付き合ってください!」
言えた。本当の気持ちを。時間はかかったが・・・
「・・・え・・・」
八瑠佳は固まっていた。
「別に返事はすぐ欲しいわけじゃないです・・・ただ伝えたかったんです・・・」
(あれ・・・頭が痛い・・・ふらつく・・・)
「もう、フラフラじゃないですか。風邪ひきますよ。」
八瑠佳は蓮に傘をかけようとする。しかし、蓮はすぐに返す。
「河瀬さんが使ってください。すでにずぶぬれですし・・・」
「コンビニで傘買いに行きましょう。5分もないうちに着くと思います。歩けますか?」
「ええ・・・」
2人は並んでコンビニに向かう。八瑠佳は傘を少し、蓮の方に傘を近づけた。蓮は気が付いていないようだ。
すぐにコンビニ着いた。
「傘持っててください。私傘買ってきます。」
そう言い、八瑠佳はコンビニに入った。
(どうすかな・・・濡れちゃったし、近くにシャワー付きのネットカフェあるかな?)
蓮はスマホで探すが、近くにはないようだ。よく考えれば、カップルや家族がメイン層であるのにあるわけがない。
「お待たせしました。はい。これ使ってください。」
八瑠佳は傘を差しだす。
「ありがとうございます。いくらでしたか?」
「今度でいいですよ。」
「え・・・」
「さっき考えたんですけど、寺沢さんこのまま電車乗れないですし、服乾かさないといけないですよね?」
「そうですね・・・でも、もう傘もありますし、乾くまでここら辺にいますよ。」
「それじゃ、風邪ひきますよ。私に考えがあります。付いてきてください。」
「はい・・・」
(今日の河瀬さんはいつもより押しがつよいな・・・)
蓮はどんどん進んでいく八瑠佳についていった。




