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ホンモノノスキ  作者: リンゴ
言えない本音
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本音③     舞風優視点

「俺、昔から人に本音で話すことができないんですよ。」


「・・・」


少しドキリとした。舞風優も思い当たることがある。


「河瀬さんに最初食事に誘われたとき、本当は断ろうと思ったんですよ。でも、一生懸命連絡先を渡しに来てくれた河瀬さんに悪くて、断り切れなかったんですよ。きっと一回食事をすれば、終わりだろうと思っていたんですよ。」


「でも終わらなかったと。」


「ええ。本当は河瀬さんに俺と一緒にいて楽しいですか?って聞きたかった。ある程度、好意を持ってもらっているというのなんとなくわかったんですけど、それが本当に自分に向けられているのかがずっと疑問でした。河瀬さんが見ているのはを外側の俺じゃないんかって思っていたんですよ。」


「だから、自分のオタクの部分を話したわけか・・・」


「そうです。」


2人は黙り込む。まだ、舞風優は聞いておきたいことがあった。


「まだ、聞いていないことがあるから聞いてもいい?」


「はい・・・」


「寺沢さんは八瑠佳のことどう思っているの?好きなの?」


「・・・。俺にはもう河瀬さんを好きっていう資格はないですよ。」


舞風優はその答えを聞きたくなかった。きっと回答をぼかすだろうなと予想していた。


「そうだね。資格はないね。」


と静かに流すはずだった。心の中で、怒りながら。


しかし、今日の私はどうかしていた。きっといつもより早いペースで飲んでいたので酔っていたに違いない。


テーブルを大きな音でたたく。


「違う!!」


寺沢さんも驚いていた。


「確かに資格はない。けど、ここぐらい本音で話せよ!話さないといつまでもこのままだぞ!それいいのかよ!」


「・・・・・。好きですよ・・・。好きですよ!河瀬さんのこと。あんな子に好意を寄せられて、好きにならないわけないでしょう!!」


「じゃあ、それを言えよ!言わないと伝わんないだろ!人と人が仲良くなるのに傷つかないなんてありえないんだよ!傷つくことを恐れんなよ!」


2人のヒートアップした会話に周りの視線が向けられる。


私たちは視線を感じて、声を抑える。


「んっ・・。私が言いたかったのはさっき言ったとおりだから。」


「神谷さん・・・ありがとうございました。俺、いきなりは変われないけど、少しずつ変わっていけたらなとは思います。」


2人はグラスを空にして店を出た。



・・・・・・


「いいの?私の方がたくさん飲んだのに?」


「もちろんです。大切なことを教えてもらったにしては安すぎるくらいです。」


「それじゃ。たぶん、もう会わないけど・・・」


「そうですね・・・今日は本当にありがとうございました。」


2人は別れ、反対側に歩き出す。


舞風優はチラッと後ろを見る。彼はまっすぐ歩いていた。




今日は確かに飲みすぎた気がする。


私は今日の寺沢さんと一緒に飲んで、何をしたかったのだろう?結局、話を聞いて、怒っただけだ。


八瑠佳のことは何一つ解決していない。


「もう、いいか・・・眠い・・・」


今日、本音を言えたのは私の方だったかもしれない。人にあんなに怒ったのは初めてだった。


もしかして今まで本音で話せる人がいなかった私にとってあんなに本音で話せるのは彼が初めてだった。そんなに話したわけではないのに。なんで本音で話せたのかはわからない。


そんなことを考えてる内に舞風優は眠ってしまった。


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