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ホンモノノスキ  作者: リンゴ
言えない本音
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涙     八瑠佳視点

八瑠佳は舞風優が店を出ていったのを確認した後、つぶやく。


「ふー・・・。さすが、舞風優・・・」


「八瑠佳さんー。レジお願いしますー。」


「はーい。すぐ行きます。」


・・・・・


「今日は、最後だけ忙しかったですねー。」


「そうだねー。でも今日は売上良かったよね。」


「そうですねー。あ、ここでお別れですね。お疲れ様でしたー。」


「お疲れ様ー。」


栞ちゃんを見送る。


「・・・帰りますか。」


私の心は告白決行予定日以降、重かった。周りには明るく振る舞い、いつも通りの河瀬八瑠佳を必死に演じた。栞ちゃんにもばれてなかったのに・・・舞風優はごまかせなかったようだ。




八時になった。そろそろ電話がかかってくるはずだ。


♪~~


「もしもし」


「さっきぶり。で、本当のことを聞いてもいいのかな?話すのが嫌だったら、言わなくてもいいけど・・・」


「・・・話すよ。そういえば、いつ気づいたの?」


「八瑠佳の顔を見た時から。」


「え・・・」


「今日化粧いつもより濃かった。普段は濃いメイクあんまりしないのに。」


「あー」


確かに今日のメイクはいつもより濃かった。


「さすが舞風優だね・・・じゃあ、話すね・・・」


・・・・・


八瑠佳は舞風優に会ったこと全てを話した。告白するまでいかなかったこと。寺沢さんがオタクだったこと。もう会わないと言われたこと。


八瑠佳は話終える。心なしか少しすっきりした気がする。


「ありがとう。辛いこと話してくれて。そのうえで聞いていい?」


「うん。」


「なんで、誰にも言わなかったの?」


「だって、このまま言うと絶対に寺沢さんが悪く言われそうだったし。今回悪いのは寺沢さんのことをすぐに受け入れられなかった私もいけなかったと思っているし。」


「・・・八瑠佳は寺沢さんのオタク趣味。R18のゲーム趣味を受け入れるつもりだったの?」


「受けいれるっていうのは違うかな。たぶん受け入れるのは難しいと思うし。でも、理解してあげたいと思った。」


「・・・八瑠佳・・・八瑠佳の寺沢さんへの想いはホンモノだったんだね。」


「うん。それは間違いないよ。あれ・・・」


気が付けば、私は涙を流していた。


「八瑠佳?」


「ごめん、なんか涙出ちゃって。」


「いいんだよ。泣いて。」


「うん・・・」


もう涙が止まらなかった。抑えきれない。


私本当に寺沢さんのこと好きだったんだ・・・今も・・・



・・・・・


10分ほど泣いてしまった。


舞風優は何も言わず、ずっと話を聞いてくれた。


「落ち着いた?」


「うん。ありがとう。私舞風優と友達で良かった。」


「また愚痴を言いたくなったら、いつでも電話して。」


「本当にありがとう。」


ここで電話が終わった。


泣いたら、気持ちがだいぶ楽になった。


正直まだ気持ちの整理はできていない。でも前向きになることができた。


「落ち込んでいるなんて私らしくない!明日からがんばろ!」

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