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ホンモノノスキ  作者: リンゴ
言えない本音
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心配     舞風優視点

一昨日は、八瑠佳が告白する日だった。昨日連絡は来なかった。うまくいったのか、それともうまくいかなかったのか、もやもやした気持ちで舞風優は仕事をしていた。


今、舞風優は異動の準備をしている。通常の業務に加え、次の担当に引き継ぎ、今まで取材させていただいていた方へのあいさつ、異動先での準備などやることは山積みだった。


「編集長。私これから、取材して直帰します。なにか引き継ぐことありますか?」


「うーん、特になさそうだね。行ってらっしゃい。」


「失礼します。」


舞風優は会社から出て、コンビニへ向かう。


「今日は天気もいいし、外で食べよう。」


舞風優はコンビニでサンドウィッチを購入し、公園のベンチで食事にした。


スマホを見ても八瑠佳からのメッセージはない。


(これは・・・ダメだったのかな・・・今日直帰だし、早めに取材終わったら、八瑠佳に会いに行こう。)




「ありがとうございました。」


舞風優は頭を下げ、取材先の店から出る。時刻は16時になろうとしていた。


ここに来るのも、もうないのかもしれない。そう思うと少し寂しくなる。


(私って結構名古屋好きだったんだな。)


今更ながら、思う。名古屋には約6年半いたことになる。長いようで短かった。


そんなことを考えてながら歩いていると、八瑠佳の働いている店が見えてきた。


♪~~


「いらっしゃいませー。」


出迎えてくれたのは栞だった。


「こんにちは。栞ちゃん。八瑠佳いる?」


「ああー。一昨日のことですか?実は・・・」


栞はニヤニヤしている。舞風優は期待してしまった。


「ちょっと待って!自分で言うよ・・・ちょうど休憩だし・・・タイミングがいいのか、悪いのか・・・


八瑠佳が奥から出てきた。


「店長~。休憩入りますね。」


舞風優は八瑠佳と一緒の席に座った。


「結果から言いますと、告白できませんでした!!」


「・・・ん?」


「あれだけ、告白するって言ってね。これですよ・・・」


栞が注文したコーヒーを運びながら、言う。


「うん。八瑠佳らしいね。」


「いざ告白しようとすると緊張して、言えなくって・・・」


「まあ、まだ終わったではないんですよね?」


栞が八瑠佳の方を見る。


「現状維持って感じ。なんか情けなくなって、連絡遅れてごめんね?」


「・・・気にしてないよ。最初は振られたのかと思ったけど・・・」


「いやだなー。そしたら泣きながら電話するよー。」


八瑠佳の告白に対して舞風優と栞が色々いじりながら、時間は過ぎていった。


・・・・・


「じゃあ、私帰るね。仕事中にお邪魔してごめんね。」


「うん。じゃあ、またね。」


八瑠佳は出口まで送ろうとする。舞風優の出口で振り返る。


2人の視線がぶつかる。


「八瑠佳、今日何時ごろ家に着く?」


「?八時には着いていると思うけど・・・?」


「電話していい?」


ほんの一瞬、沈黙が流れた。


「・・・うん。」


舞風優は八瑠佳の返事を聞くと、店を出た。



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