表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホンモノノスキ  作者: リンゴ
ウソの中のホンモノ
115/117

誤解①     舞風優視点

「ふうー」


私は深呼吸をする。


私は今、八瑠佳が働いている喫茶店の目の前にいる。

今日行くことは八瑠佳に連絡していない。


もしかしたら今日は出勤していないかもしれない。

となりに寺沢さんの姿はない。


一緒に行きたそうな顔をしていたが、私は一人で来たかった。

彼は異動する前の職場に行っている。


「よし・・・」


カランカラン



「いらっしゃいませー。」


見たことのない人だった。


「すみません、河野さんって今日出勤されていますか?」


「はい。出勤されてますよ。副店長ー!」


「はーい。すみま・・・せん。お待たせしました。林さん、ホールお願いしてもいい?」


「わかりました。」


林さんは去っていく。


「久しぶり。来ちゃったんだね・・・。」


「ごめん。迷惑なのはわかっているんだけど・・・」


「私今日早上がりなんだ。あと一時間ぐらい、店で待っていてくれる?」


「わかった・・・」


「ねえ・・・今日一人?」


八瑠佳が聞きにくそうに問いかける。


「・・・一人ではないよ。か・・」


「そっか・・・また後で聞くよ。」



私は席に通され、以前来ていたようにコーヒーを頼んだ。


(思っていたより怒っていなかった・・・)


正直ビンタでもされて追い返されることまで考えていた。


(やっぱり、わかっているな・・・)


そして察してしまった。

きっと八瑠佳はまだ、彼のことを想っている。


私は八瑠佳には寺沢さんと会った方がいいと思っていた。

もし、2人の想いが想像以上だったら・・・


私は・・・どうしたら、いいのだろう?


無計画にもほどがある。

行き当たりばったりだ。


私は考えるのをやめ、周りを見渡す。

レイアウトは以前と大きく変わっていた。

八瑠佳が副店長になったことが関係しているのだろうか?



八瑠佳が私の席に近づいてきた。

コーヒーを持っている様子もない。


「店長が、今日はお客様もすくないし、もう上がっていいよだって・・・」


「え・・・」


私は奥を見渡すと店長が手を振っていた。

私は頭を下げる。


「片付けするからちょっと待っててくれる?」


「うん・・・」


八瑠佳はバックルームに消えていった。


すると今度は店長が近づいてきた。


「久しぶりね。」


「はい。」


「あなたが金沢に行ってから、八瑠佳の元気なかったの・・・本人は隠しているようだけど・・・」


「そうなんですか。」


「彼氏と別れてからは更にね・・・」


「・・・・・」


私は思わず目を伏せてしまう。


「・・・・私は何も知らないし、何かを言う権限もないけど、彼女を元気にしてあげて欲しいの。」


「・・・善処します。」


「お待たせ。あ、店長今日はありがとうございます。」


「気にしないで。じゃあお疲れ様。」


「お疲れ様です。舞風優行こっか。」


「うん。」


私は席を立った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ