恋敵(こいがたき)と書いて、恋敵(ともだち)と読む② 千愛希視点
舞風優が恋敵になったら、悲しむかなと思っていた。
しかし、嬉しいという感情が勝った。
舞風優が過去をのりきれたことが自分のことのように嬉しかった。
でも、じゃあ寺沢君を諦めますとは言えない。
今はまだ、心の内を語るわけにもいかない。
「じゃあ、これからはライバルだね・・・」
「・・・・・うん。」
「来週、寺沢君と水族館に行くんだ。そこで、告白する。」
「・・・・・うん。遠慮しないで・・・」
「もちろん。でも、舞風優も同じだよ。」
「え・・・」
「確かに私たちは、これからライバルだよ。恋敵だよ。でも、友達であることは変わらない。」
「・・・・・」
「そうだよね?」
「・・・うん・・・」
舞風優の声が震えていた。
「仮に、私が振られて、舞風優が寺沢君と付き合うことになっても、私は舞風優の友達であることに変わりないよ。嫉妬はしちゃうと思うけど。」
「・・・・う、ううっ・・・」
舞風優は涙を流していた。
「だから、私が寺沢君と付き合うことになっても恨まないでね?」
「うん・・・うん・・・」
舞風優はしばらく泣いていた。こんなに泣いているのは初めて見る。
私は慰めることもせず、ただ手を握っていた。
「落ち着いた?」
「・・・うん。ありがとう。」
「じゃあ、今日は解散しよっか。」
「うん。」
私たちは喫茶店を出て、別れた。
舞風優は最後まで、元気がなかった。
「私も帰ろう・・・」
自宅についた。
家に帰る途中天気が悪くなった。
そういえば今週は雪が降ると言っていた。
水族館デートも雪が降るかもしれない。
実は舞風優に言っていないことがある。もしかしたら知っているかもしれないけど・・・
寺沢君と出かける日は寺沢君の誕生日だ。
プレゼントも用意した。
(これくらいは許してね・・・)
舞風優にはああ言ったが、恋敵の期間は短いだろう。
水族館で私が告白したら、結論が出るだろう。
この三角関係も終わる。
どんな終わり方をするのだろう。
全員が納得できる終わりができるだろうか?