表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホンモノノスキ  作者: リンゴ
ウソの中のホンモノ
101/117

初めての彼女②     蓮視点

初めての彼女だった。

森田さんも男性と付き合ったことはないらしい。


遊園地に映画などメジャーなスポットは行った。

彼女が喜びそうなことは何でもした。

俺はどうにか距離を近づけたかった。


俺のことを見てもらいたいと思っていたが、そうはならなかった。

俺は森田さんにかっこいいところを見せたかった。しかし、かっこつければつけるほど、俺は素を見せることができなくなった。


それでも、いつか心を通わせることができるのではないか、自分を見てもらえるのではないかと思った。


俺にできるのは手をつなぐことぐらいだった。それも彼女の最寄駅から家までの短い距離だった。


2ヶ月経っても俺たちは苗字で呼び合っていた。付き合ってから少しして、名前で呼び合うことも提案したが、却下されてしまった。


それでも俺は彼女のことが好きだった。


しかし、お互いに就職活動も本格化し、会う時間も減ってしまった。

メッセージは毎日送ったが、一日過ぎても帰ってこないこともざらだった。

電話もしたが出てもらえなかった。


彼女も忙しいんだろうと自分に都合の良いように思いこんだ。

今思うと俺は相当重い男だったと思う。


彼女の話を聞きたかった。俺のことも知ってもらいたかった。

しかし、距離は近づくことはなかった。

むしろ彼女の心が離れているのが分かった。

就職活動が終われば、会うことさえできれば、まだ何とかなると思った。


付き合って5ヶ月程が過ぎたころ、彼女からメッセージの返信が返ってこなくなった。


バイト先に行って会うことも考えたが、就職活動で出勤が減っている上に、嫌われたらどうしようと思い合いに行けなかった。


メッセージが返ってこなくなって1ヶ月が過ぎた。

めったにメッセージが来ない俺のスマホにメッセージが届いた。

森田さんからだった。俺はすぐに中身を確認した。



久しぶりです。

メッセージ返せなくてごめんなさい。


私の都合で申し訳ないのですが、会うことはできますか?

場所はいつものショッピングモールでいいですか?




俺は久しぶりにメッセージが返ってきたことで喜んだ。

やっと俺の想いが通じたと思った。

そして何とか距離を戻したいと思った。


今思うと俺たちの距離は全く近づいていなかった。当時の俺はそんなこと全く思ってなかった。


別れ話をされるなんて考えなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ