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学園での授業 3

 部屋に戻ったわたしとイルは残っていた二人に先ほど起こったことを隠すことなく説明した。これに対して驚きの表情をしたのがランリ先生だった。


「まさか、あの力にはそんな反動があるとは・・・。」


「純粋な力としては他と比べても同じかそれ以上の力を持っているんだけどね。と言うよりあの力は本来そこまでの力を使えるものじゃないから。それを無理矢理大きくしてるんだからそりゃそうなるでしょ。小さい風船に大量の空気を入れるとはじけるのと同じ。」


わたしは血の付いた服をささっと洗って時空間に放り込んだ。肉体の方も分解して元の身体に戻しておく。


「そういえば、今度五大貴族と王族が揃うパーティーがあるんですが、その時ミカさんってどうしますか?一様この部屋も開けておくのでランリ先生もヒァリンも自由に使って良いですし、聞いておいてあれですがミカさんは付いてこないでしょ?ならこの部屋にいると思うので教えてあげてください。」


「了解。」


そんなことを話していると丁度いい時間になっていた。イルとヒァリン、ランリの三人は軽く片付けをしてから部屋を出て行った。わたしはこの部屋にいつでも複製できるとは言え世界で一冊しかない本を置いているため、その本の監視という意味を込めて部屋の中に残っている。日も完全に沈み、月明かりで照らされる部屋の中をフワフワと浮かびながら館から持ってきた本を読んでいる。すると、部屋にわたし以外のもう一つの気配が現れた。


「今いいか?」


影から浮かび上がるように出てきたのは天界から見張っていたリアルだった。


「いいよ。何があった?」


「・・・動き出したぞ。」


「そっかー・・・。例の神は?」


「反応だけならな。恐らく出てくるぞ。」


「了解。」


「それと伝言だ。『わたしは何も見ていない。』だそうだ。」


リアルはそれだけ言うと影に沈んでいった。窓から入る白い光の中心に残るわたしは読んでいた本を本棚に戻す。


「何も見ていない、ね。そういうことでいいんだね。」


独り言のように呟いたわたしは時空神本来の力に加えて最高神としての力を引き出した。その影響で片側三枚の翼は黒く染まり、身体や服までその黒が侵食していく。顔の半分を黒く染めた力は視界を赤黒いものに変えてしまう。さらに言うとこの状態は染まった目から赤い光が漏れ出てしまう。メイドにはその状態は恐怖しか抱かないから隠しておけと仮面をもらっている。半分を仮面で隠すと普通の時の肉体を造りその中に入り込んだ。


「よし、これで大丈夫そうかな?」


部屋に置いてある鏡で外から見ても違和感が無いようことを確認しておく。


「さて、この世界は生き残れるかな?まぁ少なくともイルが死ぬまでは生きるだろうけど・・・。」


窓から見える月を見ながら呟くようにそう言った。

 翌日イルはパーティーの準備や支度で来ることが出来なかった。ヒァリンも家の用事で来られないらしい。ということでランリだけが朝早くに部屋にやってきた。


「おはようございます。」


「おはよー。早かったね。」


「そりゃ早く教えて欲しいですからね。」


「教えるって、話せるのは大体話し終えたよ?」


「分からないところを聞いていくだけでも、勉強になるので大丈夫です。」


「あー、そう?ならわたしはここでモフモフしてるから聞きたいことあったら聞いてー。」


わたしはそう言うと時空間からフカフカのクッションを取り出してその中に埋もれた。


「ほわぁー・・・おやすみー。」


思いっきり身体を伸ばした後丸くなって眠り始めた。久しぶりにぐっすりと眠っていたわたしは身体を揺らされて目が覚めた。


「んー、なにー?」


眠たい目をこすりながら身体を起こすと、そこには少し呆れたような笑顔を浮かべているランリがわたしの方を見ていた。


「よく眠っていましたね。もうすぐ日が落ちそうだったので起こしておいた方が良いかと思いまして。」


「あら、もうそんな時間まで進んでしまっていたんですね。」


「ええ、わたしもそろそろ帰ろうかと思っているので。」


「そっか。じゃあ、また明日かな?」


「そうなりますかね。」


「じゃあ、お疲れ。」


ランリは軽く頭を下げて部屋を出て行った。扉が完全に閉まったとき、わたしは頭を切り替えて一つの最高神としての頭に切り替えた。肉体をいったん部屋のソファに寝かせるとわたしは天界まで飛んでいった。天界に繋がる扉の前に来たわたしはそこで最高神を待った。


「お待たせしました。」


「お疲れ。リアルと龍を回収しに来た。」


「了解です。すこしお待ちください。」


最高神はそう言うと門を開けたまま戻っていった。しばらくそこで待っていると龍とリアルが門の向こうから出てきた。


「よう。来るだろうなと思ったよ。」


『其方が来たと言うことはもう始まるのだな。』


「ええ、そういうこと。いったん時空間の中に入ってもらうけど良い?」


「ああ、問題ない。」


わたしが時空間を開けながらそう聞くと。二人とも問題ないと言って中に入っていった。ふたりが中に入ったのを確認するとわたしは時空間を閉めて天界を離れた。


「さて、あとはイルがどう動いていくかかな。」


部屋に寝かせていた肉体に戻ると、呟くようにそう言った。



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