学園での授業 1
投稿間隔が空いた・・・。うん、妄想がはかどらない。
わたしがイルの先生であるランリと話しているときに話しかけてきたのは一人の男だった。年齢はイルと同じくらいだろうか。
「この国の王子です。」
ランリが小さな声でそう教えてくれた。
「王子でしたか。この国に来たのが最近でしてね。知りませんでしたよ。」
少しだけ姿勢を正してそう言うと目の前の男は笑ったまま首を横に振った。
「いえいえ、お気になさらず。少しだけお話良いかな。」
そう言うと空いていた椅子に座った。
「それで話というのは何でしょうか?わたしも色々忙しい身なのでね。手短にお願いしたい。あぁ、それと護衛に連れている方もそんなに警戒なさらないでください。」
わたしがそう言うと少し離れた位置に座っていた数人がこちらを見た。まさか見破られているとは思っていなかったという表情だ。
「そうですか。それでは早速ですが、わたしたちに力の使い方を教えてもらえませんか?」
男はわたしの方をじっと見ながらそう言った。
「・・・残念ながらそれは出来ないね。それにわたしには先客がいるから。」
それだけ言うとランリの手を取って立ち上がった。そのまま出て行こうとしたとき王子の護衛をしていた奴らがわたしの前に動いた。
「・・・はぁー。どいてくれませんかね。」
面倒くさそうにそう言うが護衛たちは動く気配はない。後ろから男が近付いてくる。
「言い方を変えましょう。あなたが知っていることをわたしたちに教えなさい。これは王命です。」
「そう、ですか・・・。」
少し聞かれると困ることを話すと思い周囲の時間を止めた。何が起こっているのか分からない様子で周りを見渡している他の奴ら。わたしが指を鳴らすとその全員がわたしの方を見た。
「ランリさん。少し失礼。」
そう言ってランリの身体を自分の身体にくっつくように抱き寄せた後片目だけを手で隠した。
「ふふ、さて。じゃあ教えてあげますよ。わたしの教え方は見て感じて学べです。」
そう言いながら隠していた手を少しずつずらしていく。そこには今まであった色とはまったく違う色の瞳があることだろう。
「せいぜい苦しみな。」
最後に他の神ですら気絶するだろう幻覚を見せる。これをやられると人間の場合しばらくは気絶するし、目が覚めても混乱でしばらく動けないという状況になる。全員が気を失ったのを確認して時間を止めたまま部屋まで戻った。
「もうそろそろ良いかな。」
部屋の中で時間を動かす。問題なく動いていることを確認するとわたしは空中で思いっきり伸びをした。
「ん~、疲れた~。」
「あの、よかったんですか?」
「大丈夫だと思うよー。あそこにいたのは王子に繋がってる人だけだったみたいだし。」
わたしはランリの顔を地面が逆の状態で見ながら説明し始めた。
「あそこに入ったとき何故か全員の視線が一瞬だけこっちに向いたの。何か目立つようなことをしたわけでもないのに全員の視線が。もちろん意識だけで実際にこちらを見ていなかったこもいたけどね。多分わたしのことを待ってたんでしょうね。だからまぁ王子が気絶して倒れていたとしてもすぐに運ばれるだろうし。」
そう説明していると部屋にヒァリンちゃんだけが入ってきた。イルについて聞いてみるとどうやら違う科のやつに戦いを挑まれたそう。学園では先生の許可とお互いが了承すれば一定の範囲内での戦いが認められているとランリが教えてくれた。
「そういうことでしたか。・・・変なことしなければ良いのだけど。」
その時、イルに渡してあったクリスタルが割れたことを知らす信号が届いた。
「あー、今から少し意識なくなると思うけど問題ないから気にしないで。」
それだけ言い残すといったん身体から抜け出すとイルの元に移動した。意外と見物人が多かったので、そのままの姿を表すわけにはいかないと思い前の時に使った獣人の姿になり砕けたクリスタルの破片から身体を形成した。
『さて、何があった?』
『特に大きなことではないんですがね。ただ、ミカさん的にも少し用があるんじゃないかと思いまして。』
イルが言うには戦いが始まった途端いきなり相手があれを召喚してきたらしい。なんでもありの戦いだから問題はないだろうとのこと。それならと言うことでわたしを呼び寄せたらしい。
『たしかに用はあるね。・・・まぁいいや。久しぶりに羽伸ばしでもするかな。』
『文字通り羽伸ばしですか。』
わたしがイルの横に来てからずっと警戒しっぱなしの奴らの方に向き直った。それから仮面を付けた状態で片足を後ろに引き少しだけ姿勢を少しだけ低くした。
「初めまして。少しだけわたしの遊びに付き合っていただけないでしょうか?」
「遊びなんですね・・・。どっち持ちます?」
「女の方もらうよ。余ったのはあげる。それとこれ、頼まれてたやつ。」
イルに創っておいた槍を渡してから女に向って構えた。対峙するやつもそれに応じるように構えてくる。
「何でもありなんでしたよね?それならこれもありですよね。」
そう言うとイルは槍を片手で持って男の方に跳んでいった。それを防ぐように女が動いたがその女の進路に移動したわたしは顔を狙って蹴りを放つ。突然の蹴りで、ほとんど力を入れてない速さだけの蹴りだが女はなんとかと言った形で防いだ。
「ふふ、よく止められました。」
わたしの蹴りを腕で防いでいる女に向ってそう言って笑いかけた。地面から出てきた土槍を避けるように後ろに跳んだわたしは片手で逆立ちしながら女の方を見た。
「第一の試練は突破かな?それじゃあ次はもっと強く行くよ。」
「嘘でしょ!?今ので本気じゃないの!?」
「?当たり前でしょ。」
今度は少しだけ力を入れて女の顔めがけて回し蹴りを入れる。さすがに防がれるだろうと思っていたが、驚いたことに防いだ上から力負けして吹き飛んでしまった。建物に当たると困るので仕方なく飛んで行く先に氷の柱を形成し、そこにめり込ませた。
「予想より弱いんだが・・・。」
「それはこっちもです。」
ふとイルの声がする方を見ると片手に持った槍を肩に担いだ状態で困った表情をしながら足下を見ている。その目線の先を見ると口から泡を吹いて倒れている人が一人。
「何したの?」
「最初避けられてその後近付いてきたので腹に軽く蹴り入れただけです。その後追撃しようと動いたら姿が見えなくて探したらこの状態でした。」
「あらら、綺麗に急所入ったかな?」
その時わたしの近くから土槍が飛び出してきた。完全に警戒を解いていたわたしは本能的に避けられたが、本来の力が出せないこの身体では反応できても身体が追いつかず、土槍によって仮面だけが飛ばされた。
「くそ!」
声がした方に目を向けるとこちらに手を伸ばした状態で悔しそうな顔をしている女がいた。しかし、その顔はわたしの顔を見たことですぐに驚愕の顔に変わった。
「なっ、なんd・・・・」
「はーい、それ以上言わなーい。」
とっさに女の顔面を鷲づかみして黙らせる。それからイルの方に向き直ると先に部屋で待っててと言い残してから扉を開いて天界に飛んだ。
「さてと、どういうつもりだったか全て話してもらおうかな?」
そう言いながら先ほどからずっと震えている奴、天使を見下ろしながら優しく微笑んだ。




