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学園 イル 16

 俺の要請でリーネル家に集まった五大貴族家の当主と次期当主。そこに俺は一つのクリスタルを持って立っていた。


「さて、こうして要請を受けて集まった訳だが・・・。内容はあのことで良いのか?」


クォリオン家の当主がそう言いながら俺の方を見た。俺は持っていたクリスタルを当主達が囲むように座っている机に持っていたクリスタルを置いた。


「これはある方に頼んで借りた物で、一定時間声を残しておくことが出来る物です。」


そう説明した後クリスタルに入っているあいつとの会話を流した。突然聞こえ始めた声に最初は驚いていたが、聞こえてきた会話の内容で真剣な表情になった。会話を聞き終えた当主達はしばらく黙った後俺に今の会話の信頼性を聞いてきた。


「正直これだけでは足りないでしょう。」


「ではどうするんだ?」


「ヒァリンに対して彼女が言ったことも合わせるつもりです。証人としてメリトが聞いていると思うので問題はないかと。」


俺達もこのクリスタルだけであの家を落とせるとは思っていなかった。俺があいつに近付けばヒァリンに対して動くだろうと予想しメリトに頼んで監視してもらったのだ。それ以外にもクラスの人にも頼んでいるので合わせていると言われることはないだろう。


「そうか。なら問題なさそうだな。我々が表立って動くわけにはいかないがこれだけ準備していれば心配することはないだろう。悟られるなよ?」


その言葉で集会は一区切りになった。それからは久しぶりに集まったということで色々な話で盛り上がった。俺もコーリア姉さんと一緒に学園でのことを楽しく話した。


「はぁ~緊張した~。」


来ていた当主達が帰ったことで静かになった屋敷。部屋に戻ってきた俺は部屋着に着替えるとベットに倒れ込んだ。キオーナには紅茶を持ってきてもらい今日は下がってもらった。すこし甘めに入れてくれた紅茶を飲んでいると部屋の扉が叩かれた。返事をして入ってきたのはヒァリンだった。


「お疲れ様でした。イル様。」


俺の隣に腰を下ろした。ヒァリンはそう言いながら俺の方を見た。


「それを言うならヒァリンもです。わたしたち五大貴族家の問題に巻き込んでしまってごめんね。よく耐えてくれたよ。」


俺はそう言いながらヒァリンに笑いかける。するとヒァリンが何故か俺の顔をじっと見つめてきた。何も言わないヒァリンに少し驚いているとヒァリンが話し始めた。


「イル様に一つだけお願いがあります。」


「お願い?」


「はい。明日から学園を卒業するまでずっとわたしの隣にいてくれますか?わたしだって頑張ったんですからご褒美として要求します。」


今までにないほど真剣な声でヒァリンがそう言ってきた。最初は驚いたがすぐにそのお願いを叶えようと少しヒァリンに近付いた。


「明日からとは言わず今からにしましょうか。」


肩が触れるぐらいの距離に近付くとヒァリンが俺の肩に頭を乗せてきた。しばらくその状態でいた俺達はいつに間にか二人で仲良く眠ってしまい、朝にキオーナが起こしてくれるまで熟睡してしまった。翌日から学園に手紙を書き俺の寮にヒァリンが移動できるよう頼むとむしろそうしてほしいと学園長の方から手紙が届いた。どうやらヒァリンに対してのあいつの行動が原因だそう。それならということで早速ガリバルドにも手伝ってもらい荷物を部屋に運んだ。


「今日からはより専門的な勉強をするつもりだけど、ヒァリンはどうする?」


「一緒にやりますよ。イル様について行くにはその方が良いでしょう。」


前に俺が学園を卒業した後色々な場所を旅していくことは話してある。ヒァリンも付いてくると言っていたのでそう考えての発言だろう。そう考えていると再び扉が叩かれ今度は兄様が入ってきた。


「ラダール、父様が呼んでる。一緒に来てだって。」


「分かりました。すぐ行きます。」


ヒァリンに少しだけ待っててといい残し兄様についていった。お父様の執務室に着いた扉を叩いて中に入るとお父様が応接用の椅子に座っていた。俺と兄様は机を挟んだ向かい側に座る。


「ラダール。一つだけ聞いておきたいのだが、その水晶は誰から借りたんだ?」


俺たちが椅子に座るとすぐにお父様がそう聞いてきた。


「水晶をですか・・・。すみませんそれはお父様でも教えられません。」


俺がそう言うと父様が机に置いてあった箱からクリスタルを取り出し、置いた。そのクリスタルは俺が持っている物に酷似しており、しかもそのクリスタルから感じる力はミカさんのそれだった。


「どうやら心当たりがあるようだな。」


驚いていた俺にお父様がそう言って話しかけてきた。


「・・・はい。」


「そうか。・・・本来は五大貴族家の当主しか知らない物なんだがどうして知っているのか話してくれるか?」


お父様はそういいながら俺の顔を見た。


「分かりました。ただ、これだけはお願いします。いまからわたしが話すことを他の誰にも伝えないでください。」


おれはそう前置きをしたあと話し始めた。


「この水晶、貸してくれたあの人はクリスタルと呼んでいましたが。]


そう言いながらお父様が出したクリスタルの隣に並べた。


「お父様はこれを何処で手に入れたのですか?」


俺がそう聞くとお父様は少し考えるような素振りをしたあと話し始めた。


「これはわたしが手に入れたものではない。代々当主に引き継がれてきた物だ。これを最初に手に入れたのはリーネル家の初代当主だと聞いている。」


「初代当主が・・・。」


「その話は話してもよかったのですか?わたしが次期当主とは言えまだまだ経験がありませんし。」


兄様がそう聞くと話すことは問題ないだろうとのこと。そこまでして俺から聞き出したいのはやはりミカさんのことだろう。


「・・・わたしにこれを貸してくれたのはミカさんとわたしが呼んでいる方です。・・・ミカさんはわたしが暮らしていた世界で最高神として信じられていた存在です。」


おれがそう言うとお父様達は驚いたようなかおをした。


「暮らしていた、とはどういうことだ?」


「わたしには前世の記憶があります。この世界とは別のまったく違う世界で暮らしていました。」


「前世の記憶・・・。その記憶もそのミカという人のおかげであるのか?」


「はい。前の世界では事故でかなり若い年齢で死んでしまったので助けてくれたようです。」


おれがそう言うと少し悲しそうな表情をするお父様。自分の子供が一度若い年齢で死んでいると知ったからだろう。


「若いってどれくらいなんだ?」


兄様がそう聞いてきた。俺自身何歳で死んだかあまりはっきりとはしていない。


「そうですね・・・。たしか向こうの暦で150は越えていたと思います。」


前の世界では一周期を20個に分けていたのでこの世界の暦とは異なっている。だが150という数は決して若いという年齢では表されないはずだ。


「150ってそれで若いのか?」


「はい。わたしたちの世界ではまだまだ子供でしたね。」


そう話していると突然俺がミカさんから借りたクリスタルが粉々に砕けた。その後砕けた破片が集まっていき形を作り始める。


「まったく相談くらいしてよね。あんまり知られると面倒くさいんだから。」


まだ身体の半分ほどしか形成されていないのにそういう声が聞こえた。


「それは・・・すみませんでした。」


身体を形成し終えたミカさんは腕を組んだ状態で少し呆れ顔で俺の方を見ている。お父様達は突然現れたミカさんに驚いている。


「まぁ絶対に知られてはいけないものじゃないから良いけど。それで?この人達は信用できるのね?」


「それは大丈夫です。」


「そう・・・。なら良いよ。」


ミカさんはそう言うと俺の座っている椅子の後ろに移動して背中側から抱きしめられた。


「それで?どういう経緯で話すことになったの?」


顔の横でミカさんがそう言うので要点をまとめてミカさんに伝えた。するとミカさんの視線が机に置かれたもう一つのクリスタルに移動した。


「なるほど・・・ここにあったのか。」


そう言ってミカさんが手を伸ばすとクリスタルが浮いてミカさんの手に移動した。


「それって結局どういうものなんです?」


「ただの固いクリスタル。加工も砕くことも出来ないと思う。まぁ一様これだけでも希少価値があるから売れば金にはなるんじゃない?」


そう答えたミカさんだが、どうにも確信がない様子。そう思っているとこのクリスタルを人に渡したことがないから多分昔動いていた天使達がもっっているわたしがあげたクリスタルを渡したんじゃないかとミカさんが教えてくれた。


「そういえばミカさんの方は調べ物進んでるんですか?」


「全然。手がかりすらつかめてない状況。少しでもあれば変わるんだけどね。」


そう言いながらミカさんがさらにくっついてくる。


「失礼ながら、その調べ物とは・・・。」


恐る恐るといった様子でお父様がミカさんにそう聞いた。


「んー・・・まぁ話してもいいか。わたしが調べてるのはわたしたちが知らない神がこの世界に誕生していることについて。この前学園であった力の暴走にその神が少なからず絡んでるっていうのがわたしたち調整者と最高神の意見。」


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