悪魔との旅路 8
森の中を歩いていたわたしたちは突然現れたゴブリン種に襲われていた。ただ、わたしに取っては攻撃されてもすぐに修復されるので無視しても良いぐらいの存在だが、他の奴らはそういうわけにもいかないらしい。
「くそ、動きが速すぎる!」
とか言いながら頑張っているが、ゴブリン種の動きが速いのではなくお前らの動きが遅すぎるのだが。実際わたしは何の苦労もせず刀を抜かずにゴブリンを殴り殺している。相変わらず弱いくせに数が多いので面倒くさいが、知能はあり次第にわたしの方に来るやつは少なくなっていく。
「頑張れー。」
わたしのところに来るやつがいなくて暇になったわたしは氷を浮かべてそのうえに足を組んで座っていた。必死に戦っている奴らを見ていると男が途切れ途切れに助けを求めてきた。仕方なく乗っていた氷から降りると刀を抜いた。
「今回だけだよー。」
そう言いながら片手で持った刀を振った。すると刀身から花びらが舞い上がり襲っていたゴブリンを次々殺戮していく。
「まったく、ゴブリン種に襲われたのなんていつぶりか。」
そう呟くように言いながら刀をしまう。わたし以外の奴らは疲れて動けずにいる。地面に座り込んでいた男が先ほどのわたしのつぶやきに反応してきた。
「襲われたのが久しぶりってどういうことだ、はぁ・・・はぁ・・・。」
「言葉通りだよ。ゴブリン種は基本自分より強いって感じるやつには襲わないの。大体、ここいらでゴブリンに襲われたっていうこと自体珍しいんだから。ちなみにさっきわたしが襲われなかったのもそれが理由。」
わたしがそう言うと男は理解が出来ないと言った顔をしていた。
「つまり俺達は弱いって判断されたってことか?」
「ええ、じっさいわたしは一瞬で終わらせたのにあなたたちはわたしが助けてなければ死んでたかもしれないでしょ?それだけ差があるってこと。おわかり?」
そう言ったわたしはさっさと歩き始めた。他の奴らも息を整えてからついてくる。しばらく行くと森を出たのでかなり街に近い位置で襲われたようだ。そのまま街の中に入り依頼を受けた建物に向っていく。扉を開け中に入ると出発時と変わらないぐらいの人数がいた。
「依頼の品はこれでいいかな?それと街の近くでゴブリン種にうごきがあるみたい。」
そう言いながら受付にいた男に依頼の品を渡した。それを確認すると依頼の品を置いてからわたしの方を見た。
「ここいらでゴブリン種に負ける人がいると?」
「いるでしょ。あいつらとか。」
そう言いながら後ろを指さす。
「あれは例外ですよ。・・・最高位のあなたから見てどうでしたか?」
「向いてるかって言う面なら全く才能無しだね。ゴブリン種に苦戦するぐらいだし。肉壁ぐらいにはなると思うけど。」
「その肉壁意味ないでしょ。」
男はそう言って笑った。
「まぁそれは置いて置くとして。ここはあなた方みたいな人を育てる場所ではないんです。その辺りはそこに書いてある組合がやってるのでそちらに行ってください。それではご利用ありがとうございました。」
それだけ言うと男は受付に引っ込んでいく。わたしもそいつらを置いて人が集まっていいる方に向った。予想通り歓迎されて賭に勝ったやつからはお礼などと一緒に飲み物をもらった。この日はしばらくここで飲んでから宿に戻った。翌日朝早く宿に代金を払って出たわたしは人気の無いところから時空間に入りわたしの間に戻った。そこには何故か契約の守護神がわたしの方をじっと見ながら立っていた。その隣には呆れたような顔をしているメイドの姿。
「ようやく帰ってきましたね。待ってましたよ。」
「主様、いったい何したんですか?数日前から主様のこと待ってましたよ?」
わたしに近付いてきたすると片手に提げた鞄を手渡してきた。その中にはいつかに渡したクリスタルがぎっしり入っていた。
「全て見終わりましたよ。」
「そっか。ありがと。」
鞄からクリスタルを操って取り出し、空中に浮かべた。それからわたしの仕事をする部屋に移動すると守護神もついてくる。
「さて、目的の場所は見つかった。」
「なんとかね。まったく、こんなことで契約しないでくださいよ。」
「あら、わたしは契約なんてしてませんよ?承諾もしていない契約が出来るわけ無いのはあなたが一番知ってるんじゃない?」
そう言われた守護神、ソイニアは驚いたようなかおをした。それに対しメイドはため息を吐いている。
「ニア・・・まさか主様に乗せられたの?」
「乗せられた?」
「ええ、主様は幻覚を見せる眼を持ってるの。だからそれ使ったんじゃない?」
「そういうこと。ソイニアに見せた紙もわたしが幻覚をかけたやつだしね。まぁ騙すような感じになってごめんね?」
ソイニアはしばらく思考が止まっていたが、復活すると握っていた一つのクリスタルをわたしに見せた。
「それじゃあ、あなたも一緒に来てください。ここがわたしの行きたい世界です。」
ソイニアからクリスタルを受け取るとそのクリスタルを開いた。そこには今まで見てきた突然現れる世界に多い一定の世界が形成されていた。
「最初からついていくつもりだったし良いよ。それで?他に何か要望はある?行くのは今の仕事が終わってからになるけど出来るだけ要望を聞いてあげる。」
「言いましたね?それじゃあ色々と準備してくるのでその仕事が終わったら声をかけてください。」
ソイニアはそう言うと嬉しそうに部屋に戻っていった。
「ニアの要望。嫌な予感しかしないです。」
「まぁ仕方ないよ。それこそ身体寄越せっていわれない限り受け入れるつもり。」
わたしはそう言うと机にのった仕事を片付けるためにそちらに手を付け始めた。意外と溜まっていたのでリアルにはそれまでやっておいてほしいことを伝えて置いた。




