島 イル 14
次の日の朝、目を開けると俺のベットにもう一人がはいいていることに気がついた。気持ちよさそうに眠るヒァリンを撫でているとうっすらと目を開けた。それから俺の顔をじっと見てからすぐに逃げるようにベットから飛び出ていった。それから赤い顔をして両手で顔を覆っている。
「うー、まさかイル様と一緒に寝てしまったとは・・・。」
「あはは、間違えて入ってきちゃったのかな。朝からいいもの見られた。」
俺がそう言うと忘れてくださいといいながら俺にしがみついてきた。しばらくその状態でヒァリンの熱が冷めるのを待ってから部屋を出た。建物を出るとどうやら他の生徒達が到着していたようで、多くの生徒が砂浜に集まっていた。俺達は同じクラスの子が集まっているのを見つけそこに移動した。
「おはよー、朝から仲いいねー。」
眠たそうな目をしながらそういてきたのはヒァリンと仲のよい女の子だった。ヒァリンもその子に笑いかけながら挨拶している。
「みんな集まったな。それじゃあ予定は遅れたが初年生研修を始める。最初はそれぞれの召喚体と信頼関係を築いてもらいたいんだが・・・。」
みんなの前に立ったイニット先生がそう言いながら俺達の方を見た。何故見られたか分からない俺達がそのまま見返していると、俺達の近くにいたランリ先生が普通はここまで早く召喚体の子と仲良くは慣れないと教えてくれた。
「まぁランリ先生に任せるかな。他の子は俺のところに集まってくれ。」
そう言うと俺達以外はイニット先生のところに移動をはじめ、集まった生徒を連れて砂浜を歩いて行った。残った俺達はランリ先生について行きイニット先生が行った方とは逆に歩いて行った。そこでたどり着いたのは俺達が最初に降り立った砂浜よりも広い砂浜だった。その砂浜には何かを入れておく倉庫のようなものが建っている。
「さて、ここなら全員の子が集まっても問題ないね。これからやるのはそれぞれの子とどういうふうに育てていくかを決めていくことだね。もう決まってる子はその方向で育てていくように。まだ決まっていない子はそれぞれの子と相談して決めて。決まってる子はそこの倉庫に色々入っているからそこのやつ使って良いよ。」
ランリ先生にそう言われ、みんなそれぞれの動きを始めた。ランリ先生のところには知っていく子や召喚体と話し合っている子、俺達のようにどう育てていくか決めている子などがいる。俺は倉庫に歩いて行き、その扉を開けた。倉庫の中にはたしかに色々な物が入っている。刃を潰してある色々な武器や軽い素材で出来た色々な長さの棒、大小様々な盾などが入っていた。
「使うならこれかなー、こっちのが良いか・・・。」
独り言のようにそう呟きながら選んでいると後ろからクスクス笑う声が聞こえた。後ろを振り返るとヒァリンが口に手を当て笑っていた。
「ラダールくんがそういう面を見せることってあまりないじゃないですか。」
「・・・良いだろ別に。それと、その呼び方なんだな。」
「ええ、二人きりではないですしね。それで、どちらにするんです?」
俺の隣に来たヒァリンがそう聞いてきた。俺は長めの棒を手に取ると倉庫を出た。するとヒァリンも俺と同じ棒を持って出てきた。
「あれ?ヒァリンもそれにするの?」
「はい。これならラダールくんにも教えてもらえるでしょ?それに何処へでも付いていくつもりです。」
そういうヒァリンに家は良いのか聞いてみたが、それは兄に全て任せるとのこと。良いのか次女だろ。そう思ったが、付いてきてくれるなら有り難い。そう思いながらヒァリンの持つ棒を見たが、少し長すぎるように感じ、倉庫から少し短い棒を採ってきてヒァリンに渡した。
「あんまり長すぎると使いにくいからこれぐらいの長さから使った方が良いよ。それに、わたしが使おうとしてるのは槍じゃないですしね。」
俺はそう言うと棒を片手で持ち後ろに余った部分を脇に挟むようにして持った。その状態でガリバルドの背に跳び乗って空いている手で騎乗用の装備についている持ち手を握った。
「あ、そうだ。」
俺は少し思いつき、棒を砂浜に突き刺しガリバルドの背から降りると倉庫に走った。そこから棒と盾を一つずつ持ってきてそれを組み合わせると砂浜に突き立てた。これで簡易的な標的が完成する。その標的に何回か棒をぶつけて強度を確認すると再びガリバルドに乗る。それからはガリバルドに標的のすぐ上を飛んでもらい、ガリバルドの背から攻撃を繰り返した。最初は体勢を崩すこともあったが段々と力の加え方を把握し、二日間あった研修が終わる頃にはかなり様になったと思う。あとはミカさんに見てもらいながら練習を繰り返していけば良いだろう。
研修が終わり、帰ってきた俺達はいつも通りの学園生活が戻ってきた。この頃からはより専門的な技術や知識を学べるようになる。この学園は初年生の時に最低限学ぶべきことは全て学ぶことが出来る。そのため、初年生以降学園には所属しているが授業には出ないという生徒もおおい。力を使う仕事に就いたり、それを活用したいという子は学園に来るが、力の使い方さえ分かれば良いという考えの子の多くはそういう生徒になる。おれは色々な場所を旅しながらそこで必要な物を兄様に伝えるということをしようと考えているので、国の歴史や気候、文化などを学ぶようにしている。ヒァリンも俺と同じように授業を取っている。そんなある日、俺はヒァリンを連れて五大貴族家の談話室に来ていた。
「やぁ、ヒァリンさん。お久しぶりだね。」
そういってヒァリンの頭を撫でているコーリア姉さん。それを笑顔で見ているタルイド。
「今日は少しばかりヒァリンに関する話を。」
ひとしきり撫で終えて満足したコーリア姉さんに俺はヒァリンが紋無しの五大貴族家のあいつに言われたことなどを話した。俺と同じような結論にたどり着いたコーリア姉さん達はひとまず放置するということにした。今の状況では証拠が少なすぎるうえ、タルイドの情報によるとどうやら第二王子に接近しているらしい。さすがに家の判断無しに王族と仲のよい家を落とすのは早計すぎるという判断だ。だが、一度現当主と次期当主の両方に相談してみると言うことが決まったのは大きな前進だろう。




