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悪魔との旅路 3

 グジュウ グシュ グチャ ブシュ 

 深い森の中。高い木に覆われ日が昇っているというのに少し暗くなっている静かな森に響く音。生々しい音が響いている。森の中にひっそりとある小さな村。その中心には謎の山が築かれている。そのてっぺんに座りながら片手で持った短刀を山に刺しては抜いて刺しては抜いてを繰り返している一人の女性。


「なぁーもうそろそろ機嫌を直してくれよ。」


その女性に向けて山の下で一人の男の頭を踏みつけだなが話しかける見た目女の男。


「別に機嫌は悪くなってないですよ?悪くなってないものをどうやってなおすんでしょうか。」


女はそう言いながら相変わらず刺しては抜いて指して抜いてを繰り返している。男ははぁーと息をはいてから足下にいる男に向かって話しかけた。


「全く・・・面倒くさい奴の機嫌を曲げてくれたな。」


男はグリグリと踏みつけている男の頭を地面に押しつける。

 どうしてわたしたちがこうなってしまったかというと、少し前にこの村で食料品や情報をもらおうと立ち寄ったわたしたちは最初は温かく迎えられたが、身分証として旅の証を見せてから村の人の態度が急変したのだ。どうしてそうなったのか最初は全く分からなかったが、村の子供がわたしたちを見て劣等種と叫んだことで全てを理解しした。劣等種とはこの世界で人族以外の亜人達のことを指す言葉になる。勿論ティリアがこの言葉を知ったとき本気で怒りその結果世界中で災害が起こった。それ以降この言葉を使うものや亜人を差別する風習はほとんど消え失せ、逆にその差別をする人の方が差別されるということが多くなっている。恐らくこの村はそう言った人達が集まって出来た村なのだろう。


「まさかここに残ってるとはね。」


「本当にな。長いことこの世界にいるが残ってるとはな。それもこんな集団で。」


そんな話をリアルとしているとき突然の殺気を感じたわたしはすぐさま刀を抜き払った。リアルも同じように拳に力を纏わせている。今わたしたちは村の真ん中で話していたが、殺気は村中から感じる。わたしは片手で持った刀ともう一方の手で持った鞘を構えた。すると、村の人達が次々と出てきて、わたしたちの周りを囲う。


「どういうつもりかな?」


わたしは村の長らしき男に向かってそう聞いた。すると男は何も言わずにわたしたちを睨んでいる。すると、他の村人が手に持った武器を振り上げながら襲いかかってきた。その感情は見下し、軽蔑し、憎んでいる。


「そっか・・・じゃあ、死んじゃえ。」


わたしは構えていた刀と鞘を力を抜いたようにダラリとさせた。リアルはいつの間にか影に潜っていなくなっている。身体をふらふらさせてから、一気に刀を振りあげた。すると刀の軌道に沿うように花びらが飛んで行く。その花びらはそれぞれが意思を持つように襲いかかってくる奴らの身体を貫く。一瞬にして襲いかかってきた村人全てが死に絶えた。一人残っていた男はリアルによって四肢の骨を粉砕され頭を踏みつけられている。


「この村は終わりだね。ああ、勿論この村で生きているのは貴様だけだよ。よかったね。」


わたしの背後では花びらによって村中の肉塊が集められ山を形成していく。そのうえに座ったわたしは自然とその肉塊の山に短刀を刺している。この短刀は魂を傷つけることが出来るため、肉塊に短刀を刺す度に痛みに苦しむようなたくさんの悲鳴が聞こえてくる。この悲鳴を全て聞かせている男は苦しそうな表情をしているがリアルが気絶させないようにしている。やがて、男は精神が完全に崩壊した。


「どうだ?機嫌の方は。」


「あんまりいい気はしないな。ありがとねリアル。」


「気にすんな。戻ってきただけよかったぜ。」


村をリアルが悪魔の力で村を消した。それを確認して旅に戻ろうとしたとき突然リアルとの契約を遮るような感覚が一瞬わたしたちを襲った。今まで感じたことのない感覚に警戒しているとリアルがどうやら俺を召喚しようとした奴がいるらしいとのこと。今の感覚はわたしとリアルの契約がその召喚をはじいた反動だろうとのこと。


「どうするの?リアルの力を必要としているやつがいるってことでしょ?」


「そういうことになるな。だが、お前と契約してるんだからそっちを優先する訳にはいかんだろう。」


リアルはそう言ってわたしの方を見たが、この世界でリアルを呼ぼうとするほどのことだ。もしかしたら世界に関係するかもしれないのでさすがに無視することが出来ない。と言うことで悪魔にいってその召喚された場所に移動した。

 移動した先で見たのは白い月明かりに照らされ青白い色で満たされた場所だった。


「ここは・・・まさか教会?」


驚いたことにリアルを呼び出した場所は教会の中だった。思わずわたしは口に出ていた。その声が聞こえたのかわたしたちに背中を向けていた白い服を着た女性が振り返った。その女性の手には手のひらにのるぐらいの大きさの剣が握られていた。


「悪魔が・・・二人?」


女性はそう言いながらわたしたちの方に近づいてくる。わたしたちのすぐ目の前に来た女性はわたしたちに向かって膝をついて両手を胸の前で組むと覚悟を持った眼で言った。


「わたしに力を貸してください。わたしの魂はどうなってもかまいません。あの場所だけは絶対に守りたいんです。」


女性の中に恐怖がなかった。悪魔との契約で恐怖を抱かない子がいるとは驚いた。


「ごめんなさいね。もし悪魔の力を求めていたのなら申し訳ないけど分けられないの。どうしてその力がほしいか理由を話してくれる?」


わたしは片膝をついて女性に目線を合わせ優しい声でそう言った。力を分けられないと聞いて絶望したような表情をしたが、わたしの目を見て少しずつ話してくれた。


「じつはわたしの家が代々守ってきた場所があるんですが、そこをこの地を治める領主が奪い取ろうとしているんです。婚約者として仲良くしていた人も領主に追放され、悪評も流されてもう生きる理由がなくなってしあったんです。ならばせめて道連れにしてやろうと思って禁忌の術を使わせてもらったんです。」


悪魔の足下には赤い陣とカップに入った赤い液体が置かれている。その液体や陣を描いているのが血であることはすぐに分かった。


「・・・ねぇ、その場所にわたしたちを連れて行ってくれないかな。もしかしたら力になれるかもしれないし。」


女性にそう言うと女性の表彰が明るくなった。


「本当ですか?ありがとうございます。えっと・・・。」


「ああ、わたしは悪魔じゃないからね。悪魔はあっち。」


そういって、リアルの方を指さした。女性は驚いたような反応をしたが、すぐに切り替えてリアルに向かって頭を下げ力を貸してくださいとお願いした。リアルもその子の頭に手を乗せた。あとで聞いてみたところ教会に所属している子が苦しんで助けを求めて俺を呼んだんだから、力を貸すのは当たり前だとのこと。それに契約の代償はわたしが補填してくれるだろ?と考えたらしい。


「では、行きましょう。」


女性に連れられ森の中を進んで行くとやがて白に薄い青が混じった素材で創られた大きな建物が現れた。


「ここです。ここがわたしの守ってきた場所になります。」


わたしはここの場所を知っていた。この場所はティリアが初めてこの世界の降り立った場所として弟子に対する贈り物という意味を込めてわたしが建てたものだからだ。


「神殿・・・。」


わたしがティアラの力とわたしの力を重ね合わせ世界を安定化するために動き回った初めての地に偶然にも戻ってきていた。


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