学園 イル 8
翌朝俺は授業の用意をして教室にいた。メリトと一緒に少し早めを意識して教室に行ったが、そこにはすでに何人かの生徒が集まっていた。ランリ先生が来るまですることも無いのでメリトと話していると、次第に生徒の数も増えていき授業開始前には置いてある机が全て埋まった。合計は十五人ぐらいとそこまで多くはない。みんな今日は召喚体を連れていない。そうこうしているとランリ先生が教室に入ってきた。
「さて、今日からは一つに課題をこなしてもらおうかな。うちの科は生徒の目標の一つとして今日から半時日ぐらいあとに学園が持ってる島に科の初年生全員で行くことになってるの。そこでこのクラスはその時までに召喚体の騎乗出来る様になっておいてほしいの。一様このクラスにいる子達は全員騎乗できる召喚体と契約できてるからね。」
ランリ先生は教室の中を見回しながらそう言った。すると一人の生徒が手を挙げた。ランリ先生がその手を挙げた生徒を指した。
「騎乗できるようにってどうやればいいんですか?」
生徒はランリ先生のそう聞いた。他の生徒達も気になっているようでランリ先生の答えを待っている。
「そこは安心して。今日はそれを教えるつもりだから。でもこれだけは覚えておいてほしいんだけどまず最初から騎乗が出来る人はほとんどいないの。」
そういうとランリ先生は他に質問がある子がいないのを確認して、俺たちに教室を出るようにいった。ランリ先生について行くと学園の広い運動場に着いた。そこである程度距離を取って立つように言われ俺もメリトも余裕を持って広がった。
「さて、取り合えずみんなの召喚体との顔合わせもかねてここで召喚してみようか。召喚の方法は前教えたから分かる人はやってみて。」
ランリ先生がそう言うと所々で生徒達が召喚をし始めた。俺もそれに続いて教えてもらった方法で召喚を行う。間違えないように気をつけながら陣を組んでいき、完成したとき陣が光り始めた。
「おっしゃ、出てこーい!」
隣を見るとメリトも陣を組み終えたところで俺と同じように陣が光っている。次第に光が収まってきて、そこには進化して身体が大きくなったガリバルドが立っていた。
「この状態でも問題なく召喚できるみたいだな。よかった。」
ガリバルドに近づきながらそう言うとガリバルドは周りをキョロキョロ見渡している。そして隣にサラマンダーが呼び出されたのを確認するとそちらの方に歩いて行く。俺もガリバルトと一緒にメリトの方に行く。
「おう、そっちも成功したみたいだな。・・・乗れるかな?」
「やってみるか。」
「ケガしたら治療頼んだ。」
メリトはそう言うとサラマンダーの首に手を掛けその背に跳び乗った。サラマンダーは全く暴れることなくメリトを自らの背に乗せている。
「おぉー!乗れた乗れた。」
「乗り心地はどうだ?」
「んー、悪くはねぇな。ただ、長時間乗ってると痛くなりそうだな。騎乗用に装備を作ってもらうかな。ラダールもやってみたらどうだ?」
メリトにそう言われおれはガリバルドの方を見た。するとガリバルドは俺のことを見返しながら少し身体を低くした。俺は尾羽の方からガリバルドの上に乗る。俺が乗ったのを確認したガリバルドは低くしていた体勢を元に戻した。
「驚いたな。これは・・・。」
「どんな感じだ?と言うかその状態でも飛べるのか?」
柔らかい羽毛のおかげで痛くはならないだろうが、少し滑るのが難点だなと言うとメリトがサラマンダーの装備を作るときに一緒に頼んでおくか?と聞いてきた。確かに時間はかかるだろうからそうすることにして、俺はガリバルドの背から滑り降りた。
「サラマンダーの方に乗れるんだろうか・・・。」
俺はメリトの乗っているサラマンダーを見ながらそう言うと俺の言ったことを理解したのかサラマンダーが片側の手足を折って姿勢を低くした。メリトの手を借りてサラマンダーの背に乗る。サラマンダーは俺が乗ったのを確認すると姿勢を戻した。すると俺の視線の高さも上がり周りがよく見えるようになった。
「なんていうか・・・色々と常識から外れてるよね。五大貴族の子達って。」
ふとそんな声が聞こえてきた。身を乗り出して声のした方を見ると、ランリ先生が俺たちの方を見ていた。
「普通は周りの子みたいに苦労するものなんだけどね。」
ランリ先生に言われ周りを見ると召喚には成功しているが召喚体を制御できていない人が多い。そう考えると俺たちは珍しいのかもしれない。
「まぁ俺たちは寮でずっと一緒に生活してるからな。その分信頼関係とかは他よりも強く形成できてると言っていいな。」
メリトが少し考えながらそう言った。俺はサラマンダーの背から滑り降りるとランリ先生に近づいていった。
「一つ聞きたいんですが、わたしたちが他の子の手伝いをしてもいいんでしょうか?」
俺がそう言うとランリ先生は驚いたようなかおをした。俺はランリ先生がその反応をする理由が分からず、困ったような反応をするとランリ先生が話し始めた。ランリ先生が言うには普通貴族家の子が庶民家や自分より身分の低い子を教えると言うことはほとんどないとのこと。それも自分から教えたいという子も見たことがないらしい。
「なるほど・・・まぁその気持ちも分かります。多分貴族家であることを誇りに思ってる人が多いのでそれも関係してるんじゃないですかね。」
「そういうものなんだね。わたしも貴族家だけど位も低いしそこまで感じたことなかったなー。それじゃあお願いできるかな?さすがにわたしだけじゃ教えきれないから分かる範囲でいいから助けてあげて。」
「分かりました。メリトはどうする?残るか?」
「いや、俺も行くよ。」
そう言うとメリトはサラマンダーから降りた。そしてサラマンダーを連れて近くにいた苦戦している女の子に話しかけていた。俺もガリバルドに身体を小さくしてもらってから腕に止まらせ他の苦戦している生徒の元に向かった。俺が向かったのは俺と同じ鳥種の召喚体と契約した男の子だ。
「手伝いはいるかな?」
男の子にそう言いながら近づいていく。チラッとこちらを見たがすぐに制御しようと集中している。
「手伝いは助かる。どうすればいいか教えてくれるか?」
「分かった。じゃあ、まずその制御しようとするのをやめてみようか。」
俺がそう言うと驚いたのか制御していたのが外れた。それにより鳥は空高くに飛んでいった。
「いきなり何言うんだよ!おかげで失敗じゃねぇか!」
男はそう言いながら俺に近づいてきた。
「失敗か?上を見てみろよ。」
俺はそう言いながら空を見上げた。男もそれにつられるように空を見上げる。そこには小さいが先ほど飛んで行った鳥が見える。すると、その鳥が段々と大きくなってくる。やがて鳥は地面すれすれのところで急減速し着地した。鳥はじっと男の方を見ている。
「ど、どういうことだ・・・。」
「契約に成功してる時点である程度は認められたるんだから。わざわざ制御しようとするより自由にさせてゆっくり信頼関係を築いていくしかないよ。実際俺もそうやったしな。」
男は恐る恐るといった感じで鳥に手を伸ばした。すると鳥は自分の頭をその手に押しつけている。一瞬驚いたような反応をしたがすぐに押しつけられている頭をなで始めた。
「なんか・・・すまんな、いきなり怒って。たしかラダールだっけか、俺はコヌリスっていうんだ。」
コヌリスはそう言って謝ってきた。俺は気にすんなといっておいて他の生徒の手伝いに向かった。周りで今のやりとりを見ていた生徒達は制御しようとするのをやめた。それからはすぐに全員が召喚体とある程度の信頼関係を築くまでそこまで時間を有しなかった。お昼時には全員が終わり今日の学園の授業が終了した。学園には貴族家の子だけではなく庶民の子も来ている。庶民のこの中には家の家業を手伝っている子もいるため、そう言った子のことを考え学園の授業は午前中に終わるようになっている。午後も学園は開いているので生徒であれば自由に利用できる。家業などがない子達は大体この時間に復習や分からないところを先生に聞いたりしている。




