学園 イル 7
シャリカさんとメリトと一緒にご飯を食べたわたしはメリトに先ほどあったことを話した。今回のことは俺だけでは判断が難しいと思ったからだ。
「なるほどな・・・本当なら即刻退学になるところだが、それをするのは少し違うと。まぁ、そこは賛成だな。いくら家紋持ちの俺たちとは言え一回の失敗は見逃す方はいいだろう。」
メリトはキオーナが出したお茶を飲みながらそう言った。俺たち五大貴族は王族から家紋を与えられている。その家紋は貴族家の身分と王族からの信頼、国の中でも最高位に近い権力を有することを表す。それ故に家紋を持つ四つの家は小さな問題なら大方許す方向になる。
「そうだな、やっぱりそれがいいか。だが、ガリバルドのことを説明しないといけないしそこは旨く隠すしかないな。幸いあいつの名前は聞いてないしね。」
もし、名前を聞いていたらかばいようがなかったが名前を聞いていないのでどこかの生徒としか分からないと言えばそれまでだ。シャリカさんも一緒だったうえ、天使と契約した奴なんて子の学園に一人しかいないだろうが俺が分からないと言えば通ってしまう。
「今回ばかりはリーネル家を使うしかないか。」
「色々と申し訳ありません。」
俺のつぶやきに反応するようにシャリカさんが軽く頭を下げる。用意されたお茶を飲み終わると俺たちはまずランリ先生のところに行き事情を説明した。その間にシャリカさんには担当の先生を呼んできてもらい学園長室に集まった。
「それでこうやって集まったわけだが・・・どういう話だ?」
「簡単な話です。実は先ほどわたしたちの寮の階層にある生徒が乗り込んできまして。」
そういうと、学園長は驚いたようなかおをした。
「今回はわたしの方で適当に理由付けをしておいたのでわたしたちの寮に入ったことは問題ではありませんのでこれ以上は追求しないように。その時の相手が天使と契約していた者のようでその天使の攻撃を受けたガリバルドが急激に成長することになりました。」
俺が言いたいことを全て言い切ると学園長は頭を抱えてしまっている。さらに、シャリカさんが連れてきた先生は白い顔をしている。
「・・・そうか、ではその生徒は退学にするしか無いか。」
学園長は息を吐きながらそう呟いた。それを遮るように俺は口を開いた。
「その生徒とは誰のことでしょうか?わたしはその生徒のことを知らないので、退学させなくてもいいですよ。それに、そのおかげでガリバルドがああして成長できたんだですから感謝してますよ。」
「いや、だがな・・・」
「分かりませんか?今日は学園は休みで寮のわたしたちの階層であったこと。つまり、今回の件は五大貴族の判断が優先させられますからね。」
そういって笑うと、学園長は諦めたような笑いを浮かべて分かったと言った。
「無理を言います。ただ、もう一度同じようなことがあった時はお願いしますね。ではありがとうございました。」
そう言って俺たちは学園長室をあとにした。シャリカさんとはそこで別れ、メリトと一緒に寮に戻った。自分の部屋に入ったわたしは部屋で待っていたガリバルドと向き合う。
「えーっと・・・どこから話せる?」
キオーナも俺と一緒にガリバルドを見つめている。
「色々と制限はあるがな。世界のこと以外なら話してもいいというふうには言われている。簡単に言うと、我の身体は神の力を溜めることが出来る。それは体外からも取り込めるから、先ほど奴が放った神の力を全て吸収した結果こうなったと言うことだ。」
ガリバルドは俺の方を見ながらそう言った
「なるほど・・・天使の力でも進化できるものなんですね。」
ガリバルドに向かってそういうと、ガリバルドは首を振った。
「残念ながら天使の力では進化できません。先ほどは天使が借り受けた神の力を使用したのを察知したので、これを受け止めれば神化できると思ったから間に入らせてもらいました。」
ガリバルドが言った神から"借り受けた"とはどういう意味か聞くと、普通は天使の力だけしか持たない天使が自分と契約している神から神の力のほんの一部を借り受けることが出来るらしい。と言うことはそのほんの一部だけであれだけの力があるのかと思うと少し怖くなる。
「あの・・・わたしが聞くの変なんですが、あなたはラダール様が契約されたお方なんですよね?どうしてラダール様と契約されようと思ったのですか?」
キオーナはガリバルドに臆することなくそう聞いた。ガリバルドはその質問にすぐに答えた。
「簡単なことだ。我が相棒を気に入ったというのもある。それにあのお方が一緒にいたのだ拒否する理由がない。」
ガリバルドは満足げにそう言った。それからあのお方がいなかったとしても相棒を拒否することはなかっただろうがな。と続けた。キオーナはあの方とは誰かとガリバルドに聞いたがさすがにそれ言えないとして首を振っていた。キオーナには俺の方からその方は俺も姉様も知っているから大丈夫と伝えておいた。そういうと、キオーナは分かりましたと言ってそれ以上は聞いてこなかった。
「ありがとね。いつか話せるといいんだけど。」
「いえ、ラダール様が話したくないのであれば聞きません。もし聞くことがあったとしても他の誰にも漏らさないことを約束いたします。」
そういうとキオーナは笑顔で微笑んだ。俺もそれに笑い帰してからガリバルドの方を向き、部屋の中だと小さくなれないのか聞いてみた。すると、ガリバルドは身体を光らせ小さくなり俺の肩に留まった。
「これでいいか?」
「ああ、ありがとね。出来れば部屋の中にいるときはその大きさで頼むよ。」
肩に留まったガリバルドに向かってそう言うと首を振って答えた。それから俺はキオーナを連れてメリトの部屋を訪れていた。と言うのもガリバルドとサラマンダーの顔合わせがてら遊ばせようという話をしていたのだ。
「おお、来たな。待ってたぜ。」
部屋の扉を叩くとメリトがすぐに出てきた。後ろにはメリトの従者のコーロさんが笑顔で迎えてくれた。部屋に入った俺とキオーナはメリトに連れられ部屋の奥に移動した。そこから一枚扉をくぐるとそこは広い中庭になっており、その中心でサラマンダーが丸くなって眠っている。それを見たガリバルドが俺の方から飛んで行く。その途中進化したときの大きさに戻ったが、全く音を立てずに飛んで行くのでサラマンダーはぐっすり眠ったままだ。サラマンダーの近くに降り立ったガリバルドはゆっくりと近寄っていきサラマンダーの顔に自分の顔を近寄せ何かをした。するとサラマンダーは身体全体を大きく震わせて立とうとしたが、思いっきり転けてしまった。
「あはは、すごいね。あんなサラマンダー初めて見たよ。」
メリトはそんなふうにいいながら思いっきり笑っている。確かに俺もサラマンダーの姿には笑ってしまった。ガリバルドも楽しかったのかサラマンダーの周りを歩き回っているが、サラマンダーは恥ずかしかったのか前足で頭を抱えてしまっている。そんなサラマンダーをメリトが撫でながら話しかけている。それから俺とガリバルド、キオーナの順にサラマンダーに挨拶をした。特に問題なく挨拶が終わるとサラマンダーとガリバルドは一緒に遊び始めた。と言ってもサラマンダーがガリバルドを追いかけたり追いかけられたりと中庭を走り回って遊んでいる。それを見ながら俺たちはコーロさんが入れてくれたお茶とキオーナが持ってきたお菓子を食べながらその光景を見ていた。その日は夜もメリト達と一緒にそこで食べ、キオーナもコーロさんの従者同士の仲を深めたようで、今はお茶とお菓子について熱く語り合っている。ガリバルド達も遊び疲れたのか一緒になって眠っている。次の日からは学園の授業が本格的なものに変わって開始する。学園の授業を楽しみにしながらこの日は部屋に戻り就寝した。




