最高神
男から奪った神の力を持って最高神の元に向かった。途中自由に飛んでいた龍を捕まえて頭に乗って移動することにした。
「しかし、お前が他の世界に自ら足を運ぶなんてな。珍しいこともあるもんだ。」
「今回は特別かな。最高神から気になる情報が上がってたこともあるし。」
龍の頭の上で力が入ったクリスタルを観察していると、一瞬色が変わったように見えた。長いこと一緒にいる龍に過去に力の色が変わったことがあるか聞いてみたが、少なくともわたしと一緒にいてからはないらしい。
「じゃあどうしてだ。今のは気のせいとは言えないし・・・。」
「それも含めて聞いてみることだな。もうすぐ着くぞ。」
私たちは雲の中に突っ込んでいく。最初は視界が真っ白に覆われ、雲に含まれる水分が肌に触れる。すると突然雲が晴れ光が差した。そこには白い大地が広がっていた。ここは神が暮らす地、人が立ち入ることが出来ない聖域だ。
「どこに降りる?と言うよりいいのか?我がここにいてよいのか?」
「いいでしょ。わたしがここにいる時点である程度のことはなんとかなるし。」
龍が白い大地に降り立つと、わたしは龍の頭から飛び降りて地面の方に移動した。そこで今まで隠していた神の力を解放すると、いつもの時空神としての姿に戻った。するとどこからともなく神や天使がわたしの前に集まってきた。この世界はわたしが選んだ神や天使達を送り込んでいるのでわたしの神の力に気がついて急いで来たのだろう。少し離れたところから歩いてくる一人の女神に話しかけられた。
「この世界に来てるのは知ってたけど、さすがに龍を連れてくるのはどうかと思うよ?師匠。」
呆れたようにわたしの方を見る女神はわたしが一番最初に取った弟子で、今はこの世界の最高神として君臨している。
「こいつがいるのはわたしも想定外なの。まぁその話はいったん置いておいて、ちょっと聞きたいことあるけど時間ある?」
「もちろん。師匠が優秀な者ばかり選んでくれたおかげでわたしの仕事はほとんど無いんだから。」
「それは、よかった。これからは仕事が増えるよ。」
わたしが手に持ったクリスタルを弟子のティリアに投げ渡すと、ティリアはすぐにそれが神の力を封じたクリスタルだと言うことに気がついたようだ。
「師匠、これをどこで・・・。」
「人間が暴走させてたからごっそりまるごと抜き取ってきた。その神の力って誰のか分かる?」
「そうですね・・・。少々お待ちを。」
ティリアがそう言うとクリスタルをじっと観察し始めた。恐らく該当しそうな神を探しているのだろう。だが、少し気になるのは神の力を貸し与えるとき、もし暴走してしまった場合は神の責任になるので神がそれをするとは思えない。すると、ティリアが呟いた。
「おかしい、該当する神がいない。どういうこと、何で・・・。」
「やっぱりか。つまりそういうことね。」
「師匠は何か分かるの?」
「あくまで、わたしの予想だけど。あなたも分かってると思うから加わって。」
そう言って龍を見ると頷いて了承した。
「じゃあ、まず神として契約時には絶対に制限をつけると思う。これはティリアも知ってる通り暴走したとき神の責任になるから。でも今回は暴走したって言うことはそれを知らない神だったか。」
「それか、その縛りに縛られない神の力を持つ者かと言うわけだな。」
「と言うことはもしかしたら、死神とかが絡んでると言うことですか?」
「そっちじゃないね。絡んでるとしたら悪魔の方だと思うよ。ただ今回は明らかに神の力として暴走してるからその線は低いね。」
「つまりだ。我らが知らない神が誕生したか誕生していたと言うことだ。それも気がつかれないくらい力が弱いのか隠すのがうまいのかのどちらかだな。」
「私たちと比べたら弱いッてだけだとそんに焦らなくてもいいけどね。後者の方だったら面倒くさいな。」
「師匠は下に戻るんですよね。じゃあそっちから探してもらえませんか?わたしは龍にてつだってもらいながら探してみます。」
ティリアは聖域から地上を出来るだけ早く探すらしい。そのうえで気になったところを挙げていき、それを下で動くわたしが探すというふうにしようと言うこと。確かにわたしなら神と悟られることなく捜索できる。
「なるほどね。わかった。じゃあわたしの方でも探してみるよ。」
わたしはティリアに通信用のクリスタルを渡して聖域を後にした。その後下に降りたわたしはイルのガリバルドの力をたどって学園の寮に入り込んだ。部屋には一人メイドがいたが気にせずガリバルドを撫でていると扉を開けてイルが入ってきた。イルはすぐに図書館に行くと言ったのでふわふわ移動しながらついて行くと。図書館ではイルが呼んだことがない本を捌くって渡しガリバルドと遊んでいた。途中邪魔が入ったので図書館を後にして寮に戻った。イルとキオーナと呼ばれたメイドは昼食を食べに街に出て行ったのを部屋で見送ると、先ほど図書館に行ったとき見つけておいた一冊の本を読みに図書館に戻った。図書館の中に人がいないのを確認したわたしはそのまま目的の本まで飛んでいく。わたしが気になった本は悪魔の召喚について書かれた本で、恐らく読めないようにだろう所々が黒塗りで潰されている。
「やっぱりこの世界にも悪魔はいるんだな。最悪あいつに手伝わせるか。」
独り言のように空中で本を読みながら呟くと扉を開くような音が聞こえ、隠れるように本棚に身を寄せた。入ってきたのはわたしが記憶を入れ込んだ女の子だった。取りあえずその本をささっと記録してクリスタルとして保存、本を元に戻して図書館を後にした。時間も丁度いい頃合いになっていたので、イルには先に聞いていたパーティー会場に行くと伝え部屋を後にした。と言っても先に移動したわたしは会場を見渡せる空中でふわふわしていただけだが。
パーティーが進んで行くとイルが女の人に話しかけられているのを見つけ、ついて行くようにバルコニーに出た。そこで女の人が放った言葉に驚いて一瞬神の力が溢れかけた。この時ばかりは驚きという感情があってよかった。もし無かったら怒りの感情が入り込んで殺していただろう。その後女の人が話した内容とわたしが覗いた感情と未来から危害は加えないだろうと言うことでそれまでにした。
『あの、ミカさんって踊りについて詳しかったりしますか?』
「残念ながらそちらの方は最低限しか触れてないから、詳しくはないかな。必要なら詳しいやつを連れてくるけど。」
『そうですか。分かりました。分かる範囲でいいので教えてくれるとうれしいです。』
「了解。」
イルがダンスフロアで踊っている間わたしは見下ろせる位置から眺めていた。最低限しか知らないわたしだが、そのわたしから見てもイルのダンスは相当な技術があることが分かる。そのまま2曲ほど踊ったイルはダンスフロアを離れ踊っていた女子生徒と話している。さすがに暇になってきたわたしは先ほど図書館で記録してきた本を読んで時間を潰していた。途中イルが気になる子がいると話しかけてきたのでそちらを見ると、記憶を入れ込んだ子だったのでそれを伝えておいた。
記録してきた本には面白いことに悪魔を実際に召喚した人のことが書かれており、それによると召喚した人はだんだん人格が崩壊していき、最後には自殺してしまったらしい。悪魔は召喚した人が死ぬとどこかに消えていったらしい。だけど、ここに書かれている悪魔の姿がわたしの知っている悪魔と類似してるんだよね。不思議なこともあるものだと判断し、その日はパーティー会場を出た。




