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学園 イル

 わたしがこの世界に来て十二年近くになる。学園の入学試験にも一様合格して、ミカさんに教えてもらった召喚の科に案内された。仲のよい貴族家の子達も二人ほどいたので一緒に待っていると、先生らしき人が来て話し始めた。


「まずは、学園への適性試験の合格おめでとう。だけど、ここからが本当の入学試験。今から君たちにはこの科にはいるためのテストをしてもらいます。内容は簡単です。この科に必須な召喚体と契約してもらいます。」


先生がそう言うと、わたしの周りがざわざわし始めた。わたし自身方法も分からないので急いでミカさんに聞いてみたが、ミカさんが言うには恐らく召喚体との契約は難しいものではないだろうとのこと。難しいのは契約した召喚体を呼び出す方らしい。そんな話をしていると先生が続けた。


「心配しなくても大丈夫。今回はあらかじめ用意してある陣に力を込めてもらえれば、召喚体と契約できると思うから。ただ、力が弱いと召喚されないからそういう人は残念ながら不合格になっちゃうけどね。他に適性がある場合はそっちに行ってもらうから言ってくれ。」


 先生はそう言うと私たちを連れて建物の中に入っていった。そのまま建物の中庭に向かうとそこには大きく地面に陣が描かれていた。

 試験が始まり、続々と召喚を成功させるもの、召喚できず他の科に向かうものが出てきた。そうこうすると自分の番が来た。心配でミカさんに聞いてみたがそれなら少しだけ手伝ってくれるそう。その言葉を信じて陣に力を注いだ。すると、召喚に成功した人と同じように陣が光り始めた。一瞬光が強くなり、光が収まると陣の中心には尾羽が体の四倍くらい長い鳥だった。


「よし、合格だ。じゃあ、あそこにいる人について教室まで行ってくれ。」


そういって先生が指した方には、一人の女性がいた。恐らくこの学園の生徒で、試験の手伝いをしているんだろう。ついていくと、一つの教室に案内された。その教室には俺を含めて数人ほどしかいなかったが、全員が強力な召喚体と契約している。少々場違い感を感じながら席に着いた。俺の召喚体はいつの間にか肩に止まっていて、羽が触れて少しくすぐったい。


『ミカさん、この鳥ってなんなんです?わたしも初めて見る種類なんですが・・・。』


ミカさんに聞いてみると逆さまの状態で肩に止まっている鳥を見つめた。


「この鳥はホーリーガルバルド。通常は人と契約することは多くないからね。ただ、過去に何度も召喚体として歴史に登場してるから、特別珍しい子ってわけじゃないよ。ただ今回は特別だね。」


ミカさん曰く、今回はミカさんが少し手伝ったおかげで通常のホーリーガルバルドが持つ神聖力よりも高濃度の神聖力を持つらしい。さらに、天使がこの鳥に乗って地上に現れたって言う話があって人が数人余裕で乗れるくらいの大きさになるらしい。

 ミカさんの話を聞いていると、貴族家の仲のいい子が教室に入ってきた。


「お、ラダール。よかったー。一人だけかと思ったぜ。おまえは・・・そいつか。」


「そういうメリトは誰と契約したんだ?」


「俺はライダーサラマンダーっていうやつだ。知ってるか?俺全くしらねぇんだが。」


「たしか、家にある本で読んだことがある。脚力が強いから戦闘から物資の運搬まで何でも出来る種族じゃなかったかな。」


「へー、さすがだな。」


俺の前に座ったのはメリト=デーキカウト。デーキカウト家の三男で、昔から商業から国の防衛までと幅広いことをしている貴族家だ。リーネル家も商品の運搬と護衛を一任しているくらい信頼している貴族家だ。


「なぁ、この教室の振り分けってどうなってんだろうな。周り見ても貴族家の奴って俺とラダールだけじゃね?」


「そうだよな。見たことない貴族家の子かと思ったが、やっぱり違うんだよな。多分契約した召喚体でわけてるんじゃないかな。」


俺が教室を見回すと、メリトもそれにつられて見回した。すると、教室のドアが開いて先ほどの試験担当の先生が入ってきた。


「待たせたね。もうすぐしたら全員集まると思うから、先に説明するね。この教室は召喚体の強さで分けてるんだ。まぁ、まさかこの国で五本の指に入る貴族家の子が二人もいるとは驚いたね。」


そう言うと、俺たちの方を見た。確かにリーネル家はこの国の商業を取り纏める商会を運営している。デーキカウト家はこの国の防衛の要で、昔有った隣国との闘いでこの国を守った英雄が育った家だ。そういう意味では俺たちは貴族としてかなり高い地位がある。


「それでも、ここでは貴族威を見せないでくれよ。俺たちだって怖いんだから。」


「分かってる。そんな貴族家の恥、するわけ無いよ。」


「ラダールの言った通り。ここは学園だ。学ぶために来てるんだからな。」


俺とメリトはそう言い切ると、先生が優しく微笑んだ。いくら先生とはいえ貴族家は怖い存在だったのだろう。すると、先生は教室にいる人達だけでも先に自己紹介だけ済ませておこうと言った。流れ的に俺たちからすることになった。と言っても先ほど先生が貴族家と言うことを言ったので家名と名前だけを簡単に話した。その後残っている子達も自己紹介を終わらせた。それによると全員が田舎で生まれた庶民家の出身らしい。

 ミカさんはいつの間にかいなくなっていたが、恐らく学園の中でも飛び回っているんだろう。ミカさんなりに気を利かせてくれたのだろう。そんなことを思っていると先生が話し始めた。


「さてと、今ここにいない子達は、君たちに比べて分けるのが難しいって理由でいないんだ。先に新入生への歓迎会的なことについて説明するね。簡単に言うとそれぞれの科で実力のある生徒が力を見せる、所謂学園で出来ることの紹介に近いね。この科からはさっきこの教室に案内してくれた生徒が出るからね。」


先生はその後詳しい日程や今後の予定について話すと、一枚の紙を全員に配った。そこには歓迎会の会場とその発表順のようなものが書かれていた。この日はそれで終わり、メリトと一緒に学園を出た。




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