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視るもの

 部屋を訪れたのは、イルの姉だった。イルは鍵を外して部屋の中に招き入れた。部屋の中を見回すようにして、わたしのことを見つけたように目が合った。わたし自身それに信じられず少し移動してみたが、それを追うようイルの姉も目線を動かす。


「ねえ、ラダール。この部屋にはわたしとラダールしかいないよね。わたしにはもう一人いるように見えるんだけど、気のせいだよね。」


イルの姉がそういったことでもう逃げられないと察した。イルも一瞬わたしの方を向こうとしたのか動いたが、わたしを隠そうとしたのか動きを止めた。わたしはもう一度体を生成して姿を現した。今回は先ほどの人間の形ではなく、翼を持つ神としての姿に一番近い体だ。


「驚いた。いつから気づいてたの?それかなんとなく?」


わたしは空中に浮かんだ状態で見下ろすように見つめると、驚いたように固まっている。あまりに動かないのでイルが声をかけると、一瞬体を震わせて復活した。


「姉様、大丈夫ですか?というより何驚いてるんです?見えてたんじゃないんですか?」


「い、いや、はっきりと見えてたわけじゃないの。でも確実にいることは分かってて・・・。」


「なるほど、そこまで感受性は高くないみたいね。」


ここで言う感受性は、神を感じられる能力のことだ。この力が高いほど神を感じられる。今回の場合そこまで高くないので恐らく人影がうっすら見えるくらいだろう。わたしの世界に式守とされる人はこの力が高い人が任されるらしい。この話は初代の式守に聞いた。


「つまり、あなたは神様なのですか?じゃあ、どうしてラダールと・・・。」


「あまり詳しくは言えませんが・・・、守護神とだけいっておきます。」


わたしがそう言うとイルの姉はじっと見つめてきた。そこでイルが自分が信頼している話すと諦めたように息を吐いた。


「分かりました。ではこれから長い付き合いになるでしょう。わたしの名前はイーナリア。見ての通りラダールの姉です。」


「イーナリアね、これからよろしく。わたしは・・・、真名は言えないけど彼からはミカって呼んでもらってるよ。」


「ああ、そうだ。これだけは伝えておくよ。自身の自由を守りたいなら、わたしのことを言いふらすのはやめといた方がいいよ。」


「分かっています。この国で力を持たない者が神が見えると言えば、殺されるか捕まってしまいます。それはいやですからね。」


イーナリアがそう言って部屋を出て行くと、イルはすぐにばらしてよかったのか聞いてきた。

 正直わたしのことがばれたとしても特に支障はない。最悪記憶を消してしまえばそれで済む話だ。それに、イーナリアが言ったように神を見られるのは神聖力を持った者がほとんど。なので、それ以外の者は神を侮辱することを言っているとして、殺されたり捕まえられたりしている。

 それを伝えると、イルは難し顔をして出来れば記憶は消してほしくないとのこと。わたしも記憶を消すのは最終手段としていっただけだ。


「あぁ、そうだった。一つ面白いことをしてみたの。もう一人前世の記憶を持つ人が生まれたよ。」


「それは・・・わたしのような人ってことですか?」


「そんわけないよ。記憶を入れただけで、魂は移してないよ。だからもし死んでもわたしには関係なし。」


「そうですか。・・・どうして今その話をしたんです?」


 そう聞いてきたイルにわたしが記憶を入れた奴について話した。すると、もしかしたら知っている人かもしれないとのこと。顔を合わせたことはないが、同じ貴族家の子から聞いた話で庶民家からは珍しく神聖力が高い子らしい。その子と特徴が一致するそう。


「偶然にも学園入学者に入れてしまった訳か・・・。面倒事があったらわたしに言って。偶然とはいえ、わたしのせいだし。前の世界と同じで適材適所ね。」


そう言うとイルは紹介の返事をした。わたしが適材適所と表現したのは前の世界でそれぞれの得意な種族が物事を行っているからだ。それを分かっている人にはこう言えば伝わる。


 

 それから数日後、わたしとイルは入学試験を受けるために学園に来ていた。周りには同じように試験を受けに来た子やその家族が多くいる。基本家族出来ている人は庶民家の子らしく着ている服装も貴族家のこと比べて安っぽい。


『あのミカさん。なんか視線を感じるんですが・・・。』


わたしが周りの観察をしていると、イルがそう伝えてきた。たしかに、イルの方をチラチラ見ている子達が数人いる。しかも全員が女子だ。


「よかったね。将来は安泰かな?」


『馬鹿にしないでください。』


そんな話をしていると、少し離れたところからイルのことを呼ぶ人がいた。イルもそれに気がついてそちらに向かった。そこには貴族の子供達が集まっていた。恐らくこの子達が前話していた子だろう。


「珍しいな、リーネル家がここにいるなんて。やっぱり、適正者だったんだな。」


「やっぱりって、気づいてたの?」


「そりゃあな。確信はなかったが持ってないとは思っていなかったぞ。」


イルが周りのこと話し始めたので、わたしは少し離れたところで様子を見ることにした。すると担当者が出てきて説明を始めた。


「えー、ここにいる人は学園への入学を希望する人かな。とりあえず、説明するけどここで適正者以外がここにいる場合はすぐに帰ってくれ。あとこの試験に合格しても入学できるとは限らないからな。」


担当者はそう言うと、まず貴族家の子供から試験を開始した。その様子を空中からうかがっていると試験の方法は水晶に触れて、水晶の色が変わるかどうかで判断している様子。そして変わった色によって力がわけられるみたい。そうこうしているとイルの番になった。イルが水晶に手を触れると水晶は薄い黄色に光り出した。


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