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神の遊び心

 自分の空間に帰ったわたしは早速仕事に取り掛かった。まずわたしがやったのは魂と記憶の剥離だ。剥離した魂は死者の魂を司る神に送った。そして残った記憶は氷のクリスタルに仮保存した。世界を管理する場所に移動したわたしは先ほどまでいた世界につなげ、一人の少女に記憶を差し込んだ。


「さてと、これで一番面倒くさい仕事は終わったね。メイド、他にわたしが必要なやつってある?」


メイドに聞くと、とりあえず今のところわたしが必要な書類や仕事はないそう。それを聞いたわたしはオロチたちの様子を見るために屋敷を訪れることにした。メイドにもその事を伝えて、また必要になったら呼ぶように言ってから屋敷に向かった。

 屋敷に着くと、いつものようにオロチが出迎えることはなかった。その代わりにオロチの従妖怪の白い蛇が迎えてくれた。


「お疲れさん、オロチのところにつれてってくれるかな?」


わたしがそう言いながら、手を近づけると蛇はわたしの腕に巻き付きながら登ってきた。肘付近まで登ってきた蛇は首を上げて玄関の方を見つめた。


「自分で歩けと。まぁいいけど。」


玄関をくぐったわたしは蛇の見つめる方に進んでいくと、屋敷の庭が見える縁側に到着した。庭ではオロチとシフィアナが鋭くとがった岩の上に片足で立っていた。わたしは縁側に腰掛けると、時空間からコーヒーセットを取り出してコーヒーを飲んだ。途中蛇が物欲しそうにこちらを見つめていたので、時空間から保存していたお肉を与えた。二人を眺めていると、シフィがバランスを崩して岩の先から落ちた。シフィアナが地面に着く前にオロチが助けに入ったところで、オロチがわたしに気がついた。


「主、いつから見てたんです?」


「ついさっきだよ。邪魔しちゃ悪いと思って声かけなかったんだけど。」


オロチはシフィアナを地面に寝かせると、わたしの方を向いた。わたしの隣にいた蛇はスルスルと移動してオロチの元に向かっていった。シフィアナはまだ寝転がったままだが取り合えず今は放置してシフィアナの状態を聞いてみた。

 オロチ曰く比較的順調に進んでいるとのこと。神の力は自分で伸ばしていくしかないが、それ以外の力はオロチでも大方教えることが出来る。最悪基礎的なことさえ教えてくれればいいと指示しておいたのでそれに従って神として必要なことを教えたそう。ついでに発展型も教えようと今やっていたらしい。


「まぁ、確かにオロチがやってたのは重要だけど・・・。ちょっと早すぎるんじゃない?元人間だから余計難しいと思うし・・・。」


「そう言っても、もし襲われたときとか逃げるのに必要だと思ったんですが。」


「そっちじゃなくて、まず翼を出せるようにしてからじゃない?」


オロチとそう話していると、ようやく起き上がったシフィアナが話しかけてきた。


「あの、神様。翼の出し方と動かし方は教えてもらって出来るようになってるんです。」


「あら、そうなの。それならいいかな。」


恐らくわたしのことについてオロチに聞いたのだろう、わたしの呼び方が神様に変わっていた。どうにも呼びずらそうだったので無理に呼び方をただそうとしなくてもいいと伝えると、ティア呼びに戻った。


「いい機会です。主に見本でも見せてもらいますか。恐らくわたしが教えるより同じ翼を持つ主の方が分かりやすく教えてくれるかもしれませんし。」


オロチはそう言うとわたしの方を見た。つられるようにシフィもわたしのほうをみつめてくる。確かに翼を使って飛行するには、その感覚を知っている者から教えてもらった方が分かりやすいと思う。だが、その場合生まれた時点ですでに飛ぶことが出来たわたしにとっては少し難しい。


「別に、見せるのはいいけど・・・。見て分かるようなものでもないでしょうし、教えるのも上手じゃないんだけどいい?」


「いいですよ。見てもらえばなんとなく分かると思いますし、飛び方は不死鳥に頼みます。」


オロチが出した不死鳥とはオロチと仲のよい妖怪だ。そしてわたしと契約している神の従妖怪でもある。飛び方は不死鳥に任せることにしたわたしは見本を見せることにした。翼を六枚展開して、岩の上に飛び上がり着地した。


「普通に立つだけでいいんだよね。」


そういったわたしはとがった岩の上に片足で立って見せた。私たち翼を持つ神は基本的にバランス感覚が異常に高いのでこういった人外じみたことも可能だ。


「こんな感じだけど、何か分かる?」


岩の上から下のオロチに聞いてみたが、逆に出来すぎていてよく分からなくなっているとのこと。そこでわたしは最初からこのとがった岩ではなく細い岩から練習してみたらと提案した。この細い岩はかなり高いバランス感覚がないと立つことどころか、上にのることすら出来ない。なのでシフィアナはのることが出来た時点でかなり成長していると言っていいだろう。シフィアナにその事を伝えると、自分の成長具合がどれくらいか分かってよかったと喜んでいた。オロチは倉庫から岩を二本持ってきて地面に突き刺した。


「さて、少しの間こちらの岩で練習しましょう。比較的簡単にはなりますが、先ほどよりも高さがあるので揺れも大きくなります。頑張ってください。」


オロチとシフィアナが練習を再開したのを確認したわたしは、縁側に置いてあったコーヒーセットを時空間にしまってから屋敷を後にした。時空間をくぐったわたしは氷の大地に降り立ち、そこから翼を広げて氷の大地を後にした。



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