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観察

 男が世界に転生されたから数ヶ月。わたしは白の世界で時空間を観察しながら過ごしていた。わたしが転生先に選んだのは、その世界でそこそこ裕福な貴族の家だ。なので生まれた瞬間殺されると言うこともないし、食べ物がなくて餓死する心配もない。さらに言うと長男に当たる家も対象から外してある。


「さて、だいぶ世界にもなれたようですし、そろそろわたしが行っても大丈夫そうですかね。しかし、不思議ですね。生まれてすぐ能力を確認したなら、平均以上の能力が有ることは分かったはずなのにどうしてそれを伸ばそうとしないのか。もったいない。」


この世界は大きく分けて五つの力が存在しており、それぞれ攻勢力テァッキル忍耐力ヅフィジア対外間接力クェラゥエァ間接攻勢力ハィレィテァッキル、そして神聖力テゴトゥエだ。適正者はこの中のどれかの力を磨くことが多い。さらに、この力は小さい頃から育てることでより強力になる。なので今回のようにバランスよく適性がある場合、親が必要とする力を選ぶことが多い。だが、今回は親が選ぶ様子もないので、少し早いが動き始める。わたしは転生して生後数ヶ月の状態の男が寝るのを待った。そして寝たのを確認すると、男の魂を一時的に白の世界に連れてきた。


「聞こえてる?」


「・・・あれ、どうしたんですか?というかまたここですか。」


「少しね。この世界の力について説明しようと思って。まずこの世界には五つの力が存在してて、どの力を伸ばすかによって今後に関わってくるの。だからどの力を伸ばすか聞いておきたくてね。」


「そうですか。どんな力があるんですか?」


「あなたにも分かりやすく言うと、攻撃、防御、召喚、魔法、神聖の五つかな?おすすめは攻撃か魔法か召喚だね。」


「そうですか。ちなみに神聖ってなんです?」


「あぁ、簡単に言えば神が使う力を人間が使えるように調整した物のことだね。ただ、欠点は使用者にも負荷があるから長生きできないことが多いね。だから、おすすめはしない。というか絶対選ぶな。」


男は、というか赤子姿の男は少し考えるように黙り込む。そして考えがまとまったのかこちらを向いた。


「じゃあ、召喚を選びます。」


「オッケー。じゃあ召喚ね。ついでに攻撃も上げとくと便利だからそれやるかな。」


「やるって何を・・・。」


そう。ここは学校でもないし、ましてや生後数ヶ月のやつに勉強や実践なんてできない。そこで多く使われる方法は、それに沿った本を読み聞かせることが多い。なので、わたしもそれに沿って本を作った。しかも神器を使って制作した本なので効率性は一番高いだろう。


「簡単だよ。これからこの本を読み終わるまで毎日、睡眠中はこっちの世界に呼ぶから。」


「えーっと、読むだけでいいんですか?」


「じゃあ、実際にやる?できるわけないでしょ?読むだけでいいんだから楽でしょ?」


「確かに楽ではありますが・・・。」


それから8日ほどかけて本を読み終えた。その結果、男は対外間接力クェラゥエァ攻勢力テァッキルの成長することに成功している。


「お疲れさん。召喚も攻撃もしっかり成長できてるね。」


「そうですか。ところで気になったんですが、どうして攻撃も上げたんですか?」


「ただ単に手数を増やせるからって言うのが理由かな?」


召喚の力を使う者は三つに分かれる。召喚獣などと一緒に戦う者と召喚獣を使って立ち回る者、それ以外の三つだ。一緒に戦う者は防御を上げ、召喚獣を使って立ち回る者は攻撃を上げている。これは誰が功撃するかによって変わってくる。


「じゃあ、そろそろわたしもそっちに行くから、驚かないでよ?前にも言ったけどあっちの人には、わたしの姿が見えてないから、人前でわたしと話すと変な人に見られるから。」


「そう、ですね。分かりました気をつけます。」


そう答えたのを確認すると、男の魂を元の場所に戻そうとした。そこでふと気になったことがあったので男に聞いてみた。


「そういえば、この世界ではなんて名前になったの?呼び名がないのも少し不便だから。」


「この世界の名前ですか・・・。たしかリーネル=イル=ラダートですね。」


「リネールが家名でラダートが名前かな?それにしても、闇から出る光か珍しい名前だね。」


「闇から出る光、ってどういうことです?」


「ん?いや、ラダートってこの世界だと、闇から出る光って言う意味のライダイトって言葉を変えた名前なの。あんまり使わない名前だから珍しいなと思って。でも・・・そういうことね。多分この名前は家に関係するみたい。」


わたしは神器の本を読みながら説明した。


「リネール家っていうのは、この国でも有数の貴族家みたいだけど、これまで力を持った適正者が生まれてこなかった家みたい。だから、闇の家って影から言われてたみたい。だからこその名前だね。」


適当に選んだ家だったが、これなら心配なさそうだ。条件に合った家の中から選んだとはいえ少し心配はあったのだ。


「じゃあ、これからはイルって呼ぶね。」


「それはいいんですが、イルって名前なんですか?」


「えっと・・・、イルって言うのは真名見たいなものかな。普段名乗るときはイルは省いて名乗った方がいいと思うよ。」


「分かりました。じゃあ、気をつけます。」


「まぁ、間違って名乗っても問題ないと思うから。じゃあ、元に戻すね。」


そう言って、わたしは男の、イルの魂を世界に戻した。戻ったのを確認したわたしも世界への扉を開いて移動した。


「さて、久しぶりのこの世界。どれだけわたしを楽しませてくれるかな?」

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