A2 召喚された者
ここら辺で自己紹介でも。どうも初めまして。狐火です。以上。
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わたしを覆っていた氷が消えたとき、どういうわけか私たちの方に近寄ってきていたはずの人達が氷の壁が出来る前とほとんど同じ位置にいた。
「大丈夫か?一瞬氷の壁で覆われていたが。」
わたしに一番早く近寄ってきた人がそう聞いてきた。その人は「一瞬」と言った。わたしがどう考えても一瞬という言葉では表せないだろう。取りあえず首を横に振って何もなかったと伝えると、わたしの肩を軽く叩いて安心したような表情をした。その後わたしは陛下から話があるといわれ二人きりの状態で別の部屋に移動した。
「すまないな。君には彼奴のことを話しておいた方がいいと思ってな。」
そう言うとわたしだけに聞こえるように声を小さくして話し始めた。
「彼奴が言っていたように我らは其方達三人だけを呼び出すつもりだった。だが、どういうわけか彼奴までもが一緒に来てしまった。最初は偶然巻き込まれただけかと思ったが彼奴は其方等と違いしっかりと意識を保った状態で呼び出された。そのうえ・・・我らでは絶対に勝てないほど強い力を持っている。」
陛下は何故か最後の言葉に悔しさのような感情を込めていた。
「そこでだ。恐らく彼奴は其方のことを気に入ったのだろう。ならばそれを存分に利用してやろうと考えている。先ほど彼奴から一枚の手紙が届いてな。それがこれだ。」
そう言いながら見せてくれた手紙には「七回闇が訪れたとき、それが旅立ちの時」と短く書かれていた。
「その手紙は恐らく7日後にこの大陸を離れると言うことを知らせる手紙だろう。我らはそれまでに彼奴を倒さねばならん。」
陛下は言葉に力を入れながら話した。それだけあの人の影響がでかいのだろう。
陛下と話した翌日、私たちは飛行船に乗っていた。朝早く起こされたと思ったら支度をしろと言われ、取りあえず着替えと簡単な装備をまとめて魔法で圧縮、かばんにしまって建物をでた。しれっと魔法を使ったが自分の力が戦闘よりも日常生活で便利な力の方が多いことがわかったからだ。それからは力を便利に使って快適な生活を送っている。
「すまないな。こんな朝早くに出発することになって。」
わたしが飛行船の端から外の景色を眺めているとそう言いながら一人の男が近づいてきた。
「いえ、わたしなんかが来ても良かったのか疑問を感じてるぐらいですから。」
そう言うと男はかるく笑いながらわたしの隣に立った。
「そういえば、元の世界でもこれに似たようなものがあったのだろう?参考までに聞いてもいいか?」
「いいですよ。と言ってもわたしも専門家ではないので詳しいことは分からないのですが。」
男にそう言うと俺も詳しくわ分からんが男としてこういうものには興味があるから聞いてみたいだけだと言った。わたしは元の世界での飛行機や飛行船などについて分かる範囲で話した。男は興味深そうに聞き入っていた。わたしが話し終えると、男は私たちが乗っている飛行船について教えてくれた。この飛行船はどちらかというと気球の方が近いようで、魔法によって全体を軽くして浮かびやすくし、魔法具によって空中に浮かべている形らしい。動力もあるが、基本は魔法を使ってコントロールしているらしい。船を進めるのに必要なのは風で、男に船体の後方を見てみるように言われのぞき込んでみると、帆のようなものが着いているのが見えた。どうやらそれで風を受けて進むみたいだ。
「わたしも最初は何をいているのか分かりませんでしたがね。」
男は最後にそう言うと笑った。それに連られわたしも笑顔になる。その後男は他の人に呼ばれたようで、離れていった。改めて飛行船を見回してみると、どうやら飛行船にはかなりの人が乗っているようで、甲板にはたくさんの木箱が置かれている。中身は食料などだろうか。そういえばわたし以外の召喚者もこの飛行船に乗っているようで、先ほど木箱運ぶのを手伝っていた。甲板で暇になったわたしは昨日陛下から受け取っていた手紙をかばんから取り出した。
「あなたはわたしの願いを叶えてくれると言いました。願いを叶えるためなら何でもするつもりですよ。」
わたしは手紙の一番下に書かれた言葉を見ながら独り言のように呟いた。手紙には『願いには茨の道、これが合い言葉だからわたしのところに来るとき使って。』と書いてある。元の世界に戻るというのは難しとは思う。だが諦めるわけにはいかない。わたしは手紙を大切にかばんにしまうと、一冊の本を取り出した。この本は城下に抜け出したとき古本屋で偶然見つけた私生活に便利な魔法がたくさん載っていて、わたしはこの本の魔法をたくさん覚えることが出来た。圧縮の魔法もこの本から学ぶことが出来た。
(そういえば鳥寄せの魔法ってどこで使うんだろう。本には手紙を届けたりするときに使うって書いてあったけど他にも使えないのかな。)
わたしは少し前に使えるようになった魔法について考えていた。魔法の中には他人や動物に掛けることが出来る魔法が存在していて、わたしはこれの魔法がかなり高い力を持っていて強化の幅も通常よりも広い。だが、戦いに影響を与える力ではないのであまり重要視されていない。
「試してみるかな。」
そう言いながら鳥寄せの魔法を発動した。すると、四羽ほど鳥が近づいてきてわたしが腕も上げるとそこに四羽共が留まった。その鳥たちに探知の魔法を掛けると腕を軽く上下させ飛ぶように促した。鳥たちは二羽ずつになって別の方向に飛んでいった。わたしは目を閉じて意識を集中させると、探知の魔法を掛けた鳥たちの動きとその探知による情報が入ってくる。わたしは目を開けて軽く「よっし」と呟いた。
「すごいな。そんな魔法使えるのか。」
先ほど話していた男がそう言いながら近づいてきた。どうやらわたしが鳥呼びの魔法を使っていたのを見ていたのだろう。
「簡単な魔法ですよ。城下でたまたま魔法が載っている本を見つけまして、それに載っていた魔法の一つです。」
隣に来た男にそう言いながらかばんに本をしまった。その様子を見ていた男が聞いてきた。
「ちなみに聞くが、そのかばんにも魔法を掛けてあるのか?どう見てもそのかばんに入るような大きさの本じゃなかったと思うが。」
「かばんの方には一様掛けていますが、ただ少し頑丈になるって言う魔法だけです。本の方に魔法を掛けているのでどれだけ小さいかばんでも入りますよ。問題は質量が変わらないのでかばんの強化は必要ですね。」
「なるほどな。俺は魔法が使えないからそこら辺は全くだが便利なもんだな。」
そんな話をしていると風の速さが変わり、飛行船が進む速度が少し速くなった。急に早くなったので、バランスを崩して転びそうになった。すんでの所で男に助けられ、なんとか転ばずに済んだ。
「大丈夫か?」
「え、ええ。ありがとうございます。」
男にそう言いながら立ち上がると男に何が起きたのかを聞いた。男が言うにはどうやら普段は使わない動力を使ったのだろうとのこと。急激に推進力が上がるので、先ほどのようなことがあるらしい。わたしは部屋に戻ることにして、男にお礼を言ってから船室に向かった。




