激ツヨもいいもんじゃない
会員証も手に入ったところで、早モーサン町から出発! ......と行きたいところだが、その前に挨拶しておきたい人がいたので、まずはその人の家に向かった。
「あ、スガルくん! ほらほら、早く出発しましょう!」
町の入り口で立っていた七海とメノが、俺を待ってくれた。二人もそれぞれ挨拶を済ませておいたようだった。
「さぁ、夢とたところで、早モーサン町から出発! ......と行きたいところだが、その前に挨拶しておきたい人がいたので、まずはその人の家に向かった。
「あ、駿我! もしかして、旅に出るの?」
「そういう事だ。行く前に一言挨拶しておこうと思ってな」
「そっか、旅に出ちゃうんだ......ちょっと待ってて!」
シナフィンは何か思いついたようで、廊下を音をたてながら走っていった。
数分後、色々な荷物を持ったシナフィンがよろけながら来た。
「これ、寝袋なんだけど、みんなで使って!」
「お、ありがとな! ......シナフィンも一緒に来るか?」
「ううん! 私は店があるから、そんな旅だなんて行ってられないよ。だから思い出話をいっぱい作って来てね!」
そうか、シナフィンは和菓子屋を経営してるんだった。やたらと店を開ける訳にもいかないよな。いっぱい思い出話を作ってこよう。
「じゃあ、行ってくる......」
「うん! 行ってらっしゃい!」
切ない顔をしながらも、シナフィンは俺を送ってくれた。また逢う日まで、さよなら。
「あ、スガルくん! ほらほら、早く出発しましょう!」
町の入り口で立っていた七海とメノが、俺を待ってくれた。二人もそれぞれ挨拶を済ませておいたようだった。
「さぁ、夢と冒険と! ポケッ......」
「その先は言っちゃダメだメノ。......さあ、町を出よう」
この町から出た瞬間、やっと俺らの旅が始まるのだった。この先何が起こるかわからないが、何とか苦難を乗り越え、目的を達成するのだ。そう心に決めたのだった。
「......モーサン町は大丈夫かしら?」
「きっと大丈夫だよ、元町長さん。友紀華ちゃんが何とかしてくれるよ」
「そうね......七海でいいわよ、メノちゃん」
「そーだねぇ。もう仲間だし、七海ちゃんでいいやぁ」
そんなほのぼのとした会話をしていると、草むらからいきなり謎の物体が飛び出してきた。全員が、戦闘準備に入る。
「スラぁ! ......スラ?」
飛び出してきたのは、王道モンスターのスライムだった。これならすぐに倒せる!
「スラぁぁぁぁ!!!!」
......あれ、スライムが逃げて行った。はぐれでもないのに。
〔......何回言わせんのよ。駿我のSランク魔法。七海の刀裁き、誌絵里のスケッチ......こんな最強なパーティ、スライムでも、勝てないって判断できるわよ〕
「あのぉ、萌子ちゃん......誌絵里じゃなくて、メノでいいんだけど......」
〔だまらっしゃい! とにかくあんたらはしばらくの間、敵と戦わなくていいってこと〕
......え。それってまさか......。
「やったぁ。これで敵なしだね、スガルくん」
「それが困るんだよ!! 敵も近寄って来なかったら、金も稼げないし、動画のネタにも出来ないじゃないか!!」
〔ま、しばらくは動画投稿とやら頑張ってみたら? ただ目的もなく行くなんて無謀よ〕
──確かに萌子の言う通りだ。次に行く町がどんな感じなのかも分からないし、無暗に行くもんじゃない。
──仕方ないので、またモーサン町へと戻ることにした。
※
ノコノコとモーサン町に帰って来た俺らは、取り合えずメノの家で会議を開いた。空気はお通夜モードである。
「......クエスト依頼でも受けて見る?」
「今そのサイト調べてるけど、裏スタッフとか店頭販売をするとか......クエストっていうより、バイトだなこれは」
「そっかぁ......私達、これからどうしていこう?」
メノは疑問を投げかけるが、どうもこうも、やることがないのだ。タピオカ屋でもやるか? ......ん、タピオカ? 確かあれって家でもつくれたよな......あ!!
「そうだ! タピオカ料理動画を出してみようぜ! 早速シナフィンの店行ってくる!」