なんか思ってた異世界転生と違うんだけど
飛永英斗です。
https://novelup.plus/story/784211080 こちらのノベルアップ+様で連載させて頂いている、「異世界で地球人を探せ! と女神に頼まれまして......。」がなろうに上陸しました。
こちらは良くて二週間に一回の更新となります。好評だったら週一にするかも......。
学校のチャイムが鳴り響き、先生の帰りの挨拶が終わるとすぐさま教室を飛び出して、履き潰した靴を履いて、校門を抜け出した。今日は俺が好きな漫画の発売日で、購入特典が無くならない内に買わなくては、と急いで本屋に向かっている所だ。
最低限の注意を払って、交通ルールを守りながら、無事本屋に到着する事が出来た。
漫画コーナーを覗いてみると、「本日発売!」のPOPと共に添えられていたお目当ての本が山の様に積んであった。本の山頂から一冊本を取り、レジに向かおうとすると、小さな男の子が俺の前を割り込んで入ってきた。
「ちょっと僕、割り込みしちゃ駄目だよ? 」
男の子の顔を見ようと声を掛けてみたら、男の子は一冊の絵本を持っていた。
「ご、ごめんなさい......今日は妹の誕生日だから、絵本を買ってあげて早く上げたいと思って......」
「そ、そっか。じゃあ特別に許してあげるけど、今度からはしちゃ駄目だよ?」
「は、はい。気をつけます......あ、レジ回ってきたから......」
そう言って男の子は、レジのお姉さんに絵本を渡した。タイトルと見てみると「殿坂さんを探せ!」という本だった。そのタイトルが目に入った瞬間即効で思ったのは、「誰?」という疑問だった。
こういう~を探せ! というのは確かに面白いけど、何故この子は殿坂さんをチョイスしたのだろうか? 妹が喜んでくれたらいいけど......。
※
ちょっとしたハプニングがありながらも、無事漫画を買うことが出来た。後は帰宅してベットの上で娯楽タイム、という所かな……。
そんな考え事をしていると、さっきの男の子が横断歩道を渡っている姿が見えた。しかし、そこに一台の大型トラックが男の子目掛けて走らせてきた。
「危ないっ!!」
俺は急いで男の子の元へ駆けつけ、轢かれないように精一杯前へ押した。そして、トラックと接触した瞬間、フッ、と意識が飛んでしまった。
※
「──という訳なのね、駿我するが。幼い命を救うのに、自分の命を犠牲にしてしまったと......」
「は、はい......」
目が覚めると、神聖なる場所にいた事に気づいた。そして、ツンツンしたお姉さんが立っていた。多分女神だと思う。事情はとっくに知っているようだ。もうこの時点で気づいてしまったのだが、これ完全に異世界転生のパターンだって。ありがちな死に方をしてしまったが、別に後悔はない。
「じゃあさ、あんたは異世界と地獄と天国の三つだったらどれを選ぶ気?」
「異世界」
答えはすぐ出た。天国はなんか暇そうだし、地獄は辛そうだし、異世界はなんかハラハラする気がして楽しそうだから。
「やっぱりね。最近の若者はみーんな異世界に行きたいなんて言うのよね。...... まぁ、そんな事は聞くまででもないわよ。なんせ、私がここに連れてきたと言っても過言じゃないしね」
「へ? どういう事なの?」
「...... あんたみたいな地球人が欲しくて、わざと死なせてやったのよ! あの子供も私が仕組んだ幻想なのよ! 何言わせんのよバカ!」
え...... 俺は幻想の子を助けたってことなの? でも、俺はここに必要とされたから転生しに来たんだよな?
「ま、まあいいよ。じゃあ早速転生特典を貰って異世界に」
「何言ってんのあんた、そんな簡単にいくと思わないで。いい? あんたを異世界にワープする料金、最低限のフラグ建設料金、更には死亡保険金など色々と私が負担してやってんのよ? これでも足りない訳?」
「ありませんありません私が間違ってました」
えぇ...... 俺は初期アバター状態で異世界に行くって言うの? 反抗したいけどしたら地獄に落とされそうだから黙っとこう。
「...... 私があんたを異世界転生させようとした目的はね、異世界で魔王が大暴れしていてね、異世界人の力だけじゃ対抗できないの。唯一対抗出来るのは、知能が発達している地球人だけなの。そこで、あんたは以前私が送り出した他の地球人を探して欲しいの。それが私の目的よ」
「でもでも、どうやって地球人を探すって言うんだ?」
「さっき言ったじゃない。フラグ建設料は、あんたが地球人と遭遇する確率を上げる為の物よ。それが転生特典だとら思いなさい。あと、その学生服じゃ変な目で見られるわ。少しだけお金をあげるわ。足りないんだったら、あんたの財布のなかからある分だけ使えばいいわ。あっちの世界ののレートは日本円だからね」
「あ、ああ......」
この子、ツンツンしてると思いきや、結構俺の事心配してくれてる? 流石ツンデレだ。
「何ニヤニヤしてんのよ気持ち悪い。ほら、目瞑って」
「キスでもしてくれんの?」
「異世界転生の準備よバカ!...... あんた、その調子で異世界過ごすんじゃないわよ。ハーレムとか一切無いからね? 」
「わかった。あ、最後に名前だけ聞かせて!」
「進藤萌子よ。じゃあ、行ってらー すぐ死ねばいいのにー」
結構酷い罵倒を受けながら、また意識が飛んでいった。てかあの子も地球人だったの?