そういう世界もあるらしい
父親であるザージェスが意気揚々と歓喜に酔いしれながら部屋を後にしたあと、メイドのひとりが自分のことを抱き上げ、母親?と思しきアルフォンスに慎重に手渡した。そして私は絶句するのである。「えっと、どう見ても男性にしか見えないんだけど·····ん~どうやって産んだの?」
もちろん話すことも出来ないが、頭の中ではもう目まぐるしく思考が巡りありとあらゆる考えを持ってしても理解が及ばないのである。
「どちらかと言うとザージェスよりも、私に似たようだね。あっ、でも目元なんかはザージェスにも似ているかな?本当に無事に生まれてきてくれてありがとう。もうルシファーったら魔力の渦が吹き荒れるようだったから、ザージェスと私二人でも抑えるのが大変だったよ。ふふふ将来が楽しみでならないよ」
··········魔力?いやいや、そんなことよりも、もっと大事なことがあるんじゃないか?何で男と男同士でも子供が!!メイド達も慌てふためいたことも無いって事は至極当然のことなのかもしれない。摩訶不思議な世界に生を受けたものだ。でもせっかく神々しい二人にさずけて頂いたのだ。ゆっくり馴染んでいくしかないだろう。