間違い
ヤフーブログに投稿予定です。
「あなたがコンビにから帰ってくるとかけたはずの玄関が開いていて」と、刑事が言った。「家の中はめちゃくちゃで、ここでその男と鉢合わせになった。男が襲ってきたので払いのけたら、テーブルの角で頭を打って死んだ。と、言うことですね? 」
おれと刑事の足元には血まみれの男の死体とコンビニの袋があった。
生きているのではないかと(残念ながら男は死んでいた。)確認したため、おれの手とシャツは男の血で汚れていた。
とんでもない事になったものだ。
「そういうことです! 」と、おれ。
「どうしたいいのか分からず表に出たところで宅急便の配達員と会った? 」
「そうです」
「ところで今日は平日。お勤めはどうしたのですか? 」
「ボイラーの検査で工場が休みになったのです。これは推理ですが、この男はおれの行動を調べていた。朝八時に出たら、夕方六時までは帰ってこない。ここはご覧とおり“野中の一軒家”。真昼間に空き巣に入っても誰も気づかない。で、この男はこんな時間に空き巣に入ったのだけど想定外のことが起きた」
「なるほどね」
「おれは殺人で逮捕されるのでしょうか? 」
「それはないでしょう。あなたの行為は正当防衛になると思います。ただ、勝手に引っ越さないでください」
「勿論! 」と、おれ。「でも気分が悪いのでホテルに行ってもいいですか? 一休みしたい」
「勿論! 」と、刑事。「泊まるホテルが決まったら連絡ください」 刑事が名刺をくれ、おれは一瞥してシャツの胸ポケットに入れた。
おれは洗面所で手を洗い(シャツのあの男の血を洗い流そうとしたけれど無駄だった。本当、大変なことになったものだ。おれの早い心臓音が聞こえた。)家を出て、道路に出て路駐した車に向かった。
「頭山さん、頭山さん! 」後ろで声がした。
“頭山? ” 誰だ?
おっと、おれの事だ! やっとそのことに気がついたとき、肩を後ろから強い力で押さえられた。
「あなたは頭山さんではないのですか? それにあなたの車はあれではないのですか? 」と、あの刑事が笑いながら言った。
言われるまで気づかなかったけれど、駐車スペースに頭山の、つまりあの男の車が停まっていた。
「ホテルに行くのは止めて、警察を来てもらいます」と、刑事が勝ち誇ったように言った。
「“頭山さん”改め、“名無しの権兵さん”、当分、泊まるところの心配はしなくていい」