4 ふたりの姉とひとりのおとうと
僕は精神面の成長がおそい。実年齢から5年くらいおくれて、こころが成長している気がする。
たまには家族の話をしようと思う。僕は幼いころ、実家で父母と、2人の姉と、祖母とで一緒に住んでいた。それで僕は末っ子体質だからか、役立たずである。家族と食事に行ってもサイフを出そうともしない。社会人になったのも僕がいちばん遅かった。大学まで進学したのは家族の中で僕だけで、そのあと大学院まで行ってしまった。家族が熱心に話し合っていても、僕はそばで「フーン」と見ているだけである。たぶん、頼りになる人がたくさんいる状況に慣れてしまっているのだと思う。
2,3年前、ふたりの姉がたて続けに結婚した。姉はふたりとも30代で、僕はそのとき大学生だった。結婚の報告を聞いたときの僕の衝撃たるや、「ガーン」とものすごいものだった。僕はなぜか、ふたりの結婚はずっと先だろうと思っていた。そういえば僕が中学生ぐらいのころ、姉に彼氏ができたとかで、ものすごく気持ちわるくなったことがある。別に僕のシスコンっぷりを披露したいわけじゃないのだけど、とにかく気持ちわるくなって、頭が爆発しそうだった。
そして今回の結婚。まるで実感がわかなかった。末っ子の僕にとって、初めて「家族の人数が変わった」と思った。両家の家族同士で会食をすると聞いた時はうんざりした。僕はこういう大人の付き合いがものすごく苦手なのだ。
最初の印象はそんな感じだったけど、そのあと僕は義理の兄さんたちと、仲良くさせてもらっている。意外と自分のテンションが上がっていることにも気がついた。僕は今まで、年上の男性とまるで縁がなかった。祖父とはいちども会う機会がなかったし、父親も長いあいだ単身赴任をしていた。わりと女性に囲まれて育ったから、男性だとテンションが上がるのかもしれない。
去年、下の姉に子どもが生まれた。両親は初孫にデレデレだけど、僕は特に感慨もなく甥っ子の写真を見ている。きっとつぎに僕が混乱するのは、地元友人の独身組のだれかが、いちぬけた、と結婚したときだろう。残念ながら僕には浮いた話はさっぱり出てこない。いまは好きなことも自由にできているので、うらやましがったりあせったりすることはないかもしれないけど、結婚式とかに招待されたら、またきっと顔をしかめてしまう気がする。
島本理生さんの小説『Red』で、妻が夫に対して「(あなたに足りないのは、)経験と学習」と言い放つシーンがあり、どきっとした。とても耳がいたい。僕も圧倒的に経験が少ない。なかなか大人になりきれず、いつまでも子どものまんまだ。最近は、こんな自分でもしょうがないかと思っている。そこで経験を補うのに、読書はわりといいと感じている。読書は空想の中でも、結婚したり子どもを生めたりできるし、少なくともそんな人たちの生活が覗けて、追体験ができる。もちろん、いろんなことを実際に経験するのに、越したことはないのだけれど。
甥っ子は1歳になってもハゲていて、いつまでも赤ちゃんのイメージのまんまでいてくれます。




