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射城学園の殺し屋  作者: 黒楼海璃
壱 『異常』に『異常』で『普通』じゃない
4/44

参殺

 次の日の午後、俺とこうげんの手配したヘリで東京に向かった。

 ちなみに何故ヘリなのかというと、この田舎町から一番近い駅まで徒歩二十分。更に電車に乗る事三十分で終点の駅に着き、そこから別の電車に乗り換え、更に二十分かけて別の駅まで歩き(以下略)という長い長い旅が待ってる為、光元が手配した。

 そして何故午後なのか。理由は二つ。一つ目は伊佐南美が朝十一時まで寝ていたから。二つ目はヘリが止めてある場所まで徒歩一時間も掛かってしまった為。


「あの男、よくヘリなんか手配できたな」

「流石は人脈ありまくりの元暗殺者だねー」


 ちなみに光元が元暗殺者であるという事実を知っている生徒は俺と伊佐南美の二人だけだ。一般人に知られるとマズいし、そもそも信じてもらえるかどうかってのもある。


「お兄ちゃん、どんな学校なんだろうね」

とうきょうじょうがくえん。元は由緒正しき中高一貫女学校だったんだが、とある理由で共学にしたらしい」

「お兄ちゃん何で知ってるのー?」

「さっきあの男の助手のじんさんが資料くれたんだよ」


 俺はそう言いながら、仁さんがくれた書類をヒラヒラと伊佐南美に見せる。


「お兄ちゃんだけズルーイ!」

「だったらお前も見りゃいいだろ」


 俺は駄々をこねる伊佐南美に面倒臭く資料を投げ付ける。


「どんな人がいるんだろうねー」

「さあな。だがあの男、こんな事言ってたな」

「なぁーに?」

「……射城学園は『普通』の学校じゃない、だとよ」


 相変わらずの無愛想で言う俺の言葉に対して、伊佐南美はふーん、と言って資料を見始めた。



 ヘリが出発して数時間後、東京に到着した。俺達はまず光元が手配した若い男二人に連れられ、車で約二時間半掛けてとある小さな学習塾に到着した。そこで簡単な編入試験を受けることになった、のだが……


「…………」


 俺は絶句していた。いや、テスト中だから声を出してはいけないが、別の意味で言葉が出ないのだ。

 俺が受けたテスト問題、その一部というのが、


◆国語

次の漢字の読みを答えなさい。


(1) 秋刀魚 答え:さんま

(2) 相殺 答え:そうさい

(3) 均衡 答え:きんこう


◆数学

次の計算式を解きなさい。

(1) 60×2.5= 答え:150

(2) 78÷1.3= 答え:6

(3) 100-64.7= 答え:35.3


◆英語

次の( )に当てはまる単語を書きなさい。

(1) I ( ) playing the piano 答え:am

(2) He ( ) a teacher 答え:is

(3) ( ) you play baseball ? 答え:Do


 テストのレベルがかなりアレだったのに絶句してしまったのだ。俺達が入る学校、大丈夫か。


 テスト後に受けた面接も十五分ぐらいあったが、なんというか、美人なお姉さんが面接官をやっていて、その人とほぼ雑談しかしなかった。

 後で伊佐南美にも聞いてみたが、向こうも似たり寄ったりだったらしい。


 編入試験を全て終え、光元の手配したホテルにチェックインした時は夜十時を回っていた。

 長時間の移動と試験による疲労で体が重かったが、フルマラソン一回分走れるぐらいの体力は残っている。


「お兄ちゃん、明日から楽しみだね」

「……そうだな」


 軽い晩飯も食べ、シャワーも浴びた俺達は明日に備えてもう寝る事にした。一つのベッドで抱き合いながら。


「きゅふふっ、お兄ちゃん~♪」

「はいはい」


 俺は抱きついて胸に顔を擦りつけてくる妹をナデナデしながら、その日を終えた。



 次の日、真新しい青い制服を来た俺、白い学生ブラウスに黒いスカートを着た伊佐南美はホテルを出た。そしてまたもや光元の手配した車で約三時間半。


「……着いたな」

「うん。そーだね」


 とても大きな校舎、広いグラウンド、立派な体育館、綺麗に手入れされた花々、そしてそれを囲う大きな鉄柵。とある郊外。周りは畑の多い場所。なのにそれはあった。

 『東京射城学園』


 『普通』じゃない。文字通り、『異常』の集まる学校。名前から察するに、嫌な予感しかしない学校だというのが第一印象だ。

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