酔いが醒めるまで
昨晩の飲み会、大荒れの原因はあたし。
1年付き合って、その間にあたしが知ってるだけで3回浮気した男と別れたのが1ヶ月前で
そいつが、あたしの横にのうのうと座っていたから、が理由。
自分にあるまじきピッチで飲み続け、クダを巻いたことは覚えているけど
どうやって帰ってきたのかは皆目わからない。
気がついたら、自分のベッドで服のまま寝ていた。
・・・頭、痛い。
サイドテーブルで携帯が鳴り、反射的に通話ボタンを押した。
「生きてる?」
ノー天気な声は、学生時代からの続き。
「・・・おかげさんで」
確かこいつも昨日いたよな、と1日も前じゃない時間を探る。
「寝てたんだろ、どうせ。2時だぜ」
休みの日の真昼間に電話してくるほどヒマなヤツ。
彼女もいないのか、こいつ。
あたしも他人のこと言えないけど。
「まだ、寝たまま?」
余計なお世話だと思いながら、そうだと答える。
「じゃ、酔いが醒める運動」
口答えするのも面倒なほどの二日酔い。
「寝たまま足開いて、膝立てて」
電話で見えるわけじゃないのに、つい言われた通りにする。
昨日のままのジーンズの膝が窮屈。
「体勢、できた?」
「はいはい」
どうでもいいけど。
「で、その上に俺」
思わず、がばっと飛び起きて通話ボタンを切った。
切れた通話に「バカ!!」と怒鳴る。
・・・頭、痛い。死にそう。
シャワーを浴びて氷水を浴びるほど飲み、またベッドに横になる。
メール着信のランプが光る。
―昨日の大荒れは納まったか。
ノー天気からだった。
―荒れが納まったら今度は二人で飲もう。
二人でに意味があるんだろうか。
いや、あいつに意味なんてアリエナイし!
頭痛薬と胃腸薬を一遍に飲み、目を瞑る。
考え事は、翌日に持ち越し。
ノー天気がモトカレを殴ったって聞いたのは、その翌週のこと。
fin.
この後は、ご想像におまかせ。